6.11「国旗損壊罪」反対・官邸前アクション第2弾


那須研一(「国旗等損壊罪」反対連絡会事務局)
昨年10月の政権発足以来、「国旗等損壊罪」制定を公言する高市首相。そして今年3月、同罪上程に向けて始動した自民党。「日の丸を損壊したら処罰する」。その動きに強い危機感を持ち、同罪の成立を何としても阻止しよう、との思いで市民有志が「国旗等損壊罪」反対連絡会を結成したのは、桜の咲き始める頃だった。
連絡会のメンバーの多くは元・教員。学校への「日の丸・君が代」強制反対に取り組んできた人たちの呼びかけに、レイシズムに抗う若い世代(大学生たち)も応えて、20名程が活動を展開している。行動の中心は東京だが、大阪のメンバーも奮闘中。
この2か月間、国会前情宣、SNSでの宣伝、署名(オンライン/紙面)呼びかけ(現在、1万2千筆以上)、反対リーフレット作成、文京区民センターでの反対集会2回(澤藤統一郎・白井劍両弁護士の講演)、有明・憲法集会での情宣、議員会館各室訪問、御茶ノ水駅前街宣、官邸前抗議アクション、記者会見、と果敢に行動を展開。
6月11日木曜日。仕事終わりに多くの人が参加できるように「夜7時半 官邸前集合」を呼びかけた。同所での抗議アクション第2弾である。私も杉並区の学童施設での勤務を終え、現地に向かう。告知期間の短い中、人は集まるのだろうか?
7時20分頃、国会議事堂前で下車すると、すでにマイクアピールが聞こえる。のぼり旗が林立する中、数10人が集まっている。横断幕の前には事務局メンバー。私の所属する労組の仲間の顔も見える。心が震える。警察官の姿も前回以上に目立つ。官邸側だけでなく、背後の駅側にも立つ官憲。妨害をやめろ!



開始時刻になり、事務局の伏見忠さんが口火を切る。
「違憲法案である国旗等損壊罪法が、今週か来週、国会に提出されようとしています。国旗を愛せ、という法律を作って、私たちを分断する。『愛国心』を持たない者を排除する。しかし、外国で迫害され逃れてきた人を入管に閉じ込めて殺すような国を愛せますか? 武器の輸出に踏み込んで『死の商人』に成り果てる国を愛せますか?」
「そもそもこの旗は、植民地支配の旗、侵略戦争の旗ではないですか? この旗に心を痛める人たちの思いこそ守るべきではないですか? そして、今、日の丸はヘイトデモの旗、差別排外主義の旗です。私たちには日の丸を損壊しなくては表現できない熱い思いがあります。そんな苦しい思いを持つ者を追い詰める、民主主義否定、差別と分断の法案。自民、維新、高市! 私たちはこの法案を絶対に許すことはできない。損壊罪法案を国会に提出するな!」。
私もマイクを持つ。「今、子どもたちの置かれている状況、大変です。保護者は我が子を学童クラブに入れたくても入れない。子どもの9人に1人は貧困。1日1食しか食べられない子もいる。私たち自身も物価高と低賃金で生活が困窮。原油が入らず、建築業界も医療現場も物資不足。そんな私たちの苦境に全く目を向けず『お子様ランチの旗を捨てるのは罪になるか』など、馬鹿話にうつつを抜かしてまとめ上げた法案を国会で審議するという。私たちを監視し処罰するための法律ではないですか? これが国会議員の仕事でしょうか? 自民党の議員は全員辞職せよ! 高市はただちに辞任せよ!」。
「官邸にコールをぶつけましょう!」…「国旗損壊罪絶対反対!」「損壊罪は自由の損壊!」「侵略の旗、押しつけやめろ!」「愛国心の強制やめろ!」「損壊罪は憲法違反!」「損壊罪を引っ込めろ!」…「戦争反対!」「高市やめろ!」。
参加者52名の大合唱が官邸と国会を揺るがす。通行する多数の人たち、車を運転する人の心にも私たちの叫びが届いたはずである。
参加者が次々とマイクを握る


「旗やシンボルに対する不敬を罰することは国際人権規約に違反」。
「かつて日本は日の丸を掲げて1000万人以上のアジアの人たちを殺した。あれは『日の丸』ではなく『血の丸』、ブラッドサークルです。掲げることなど許されない」。
「リフォーム会社に勤めている。資材が不足。シンナーは値上げに次ぐ値上げでついに400倍。目詰まり?資源の絶対量が足りていない。高市首相は嘘ばかり。高市こそ国難。何が国旗損壊罪か。高市を打倒しよう」。
「先日、私は初めてデモを呼びかけました。このTシャツ(『国旗を燃やす自由 表現の自由を守ろう』の文字)を着て立っていたら、1人、高校生が来て一緒にシュプレヒコールを上げてくれました」。
「愛国心は私たちが生活の中で育てていくもの。国旗を大切にしようがしまいが、それは愛国心とはまったく関係がない」。
複数の発言者が憲法に言及。「『第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない』。何色の服を着ようが、何を読もうが、何を発言しようが自由。式典の君が代で起立しなくてはならない、日の丸を崇めなければならない、なんて憲法のどこにも書いてありません。日の丸は記号に過ぎません。損壊罪は、記号に対して感情を抱けという愛国心強制法です」。
反対連絡会事務局の渡部秀清さん。「『第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する』『第十一条 この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる』。損壊罪は二重にも三重にも憲法違反。『みんなが国旗を大切に思っている』などというのはデマゴギー。高市首相はデマゴギー政治家。この法律が可決されれば、日本社会は日の丸に縛られてファシズムに向かい、私たちは再び、戦争の惨禍に見舞われることになるでしょう。決して成立させてはならない」。
教員として「君が代不起立」を貫いた根津公子さん。事務局メンバーである。「かつて停職処分を受けたあと、赴任した中学校で私は生徒に階段から突き落とされた。それを見ていた教員は何も言わずに通り過ぎていった。日の丸・君が代強制はそこまで学校を萎縮させたんです。損壊罪は社会全体を萎縮させる。絶対に通してはいけない」。
参加者それぞれが、自分の実感にもとづいて、自分の思いを自分の言葉で表現。プラカードやのぼり旗の文言も、アピールグッズも多様多彩。高市ファシスト政権がつぶそうと躍起になっているのが、私たちの、この、内心の自由と自由な表現なのだろう。国家情報局もスパイ防止法も緊急事態条項も国旗損壊罪も、狙いは同じ。向かう先は、殺し殺される戦争の暗黒である。負けるわけにはいかない。
●動画 6.5 「国旗等損壊罪」反対集会(白井劍弁護士) https://www.youtube.com/watch?v=vbhQFtKR8LE
●動画 4.11「国旗等損壊罪」反対集会(澤藤統一郎弁護士) https://www.youtube.com/watch?v=AUrpLdv_y0U

