<白石孝>

 5月13日午後、国会・参議院議員会館で「店も街もつぶす!経営・管理ビザ改悪ストップ院内集会」が開催され、115人が参加(オンライン約70人)した。 

 実名で登壇した元インドカレー店経営者は、「30年前に来日し、苦労してお店を開店、だけど、もう出来なくなった。おまけに高校生と中学生の子ども二人は、日本で育ち、日本語で生活、通学している。インドへ帰れというのは余りにもひどい、子どもの人権を無視している」と、涙ながらに語った。

 昨年10月に突如、外国人が日本で事業を営むための在留資格「経営・管理」の許可基準が、省令により大きく改変されたことから始まった。全国のインド・ネパール料理店、タイ料理店、ベトナム料理店、トルコ料理店、中華料理店などがどんどん姿を消すという事態だ。

 集会では、先の店主のほか、クラウドファンディングで5万筆以上を集めている鶴ヶ島たろうさん、新大久保界隈に詳しいジャーナリスト室橋裕和さん、大阪島本町の河上りさ町議会議員、移住連の鳥井一平さん、帰化一世行政書士の吉永藍さん、入管で度々手続きをしている行政書士の山田恭永さんが発言した。

 今回の「経営・管理」ビザの改悪の内容、そして集会での主な発言は、この後詳記するが、まずは私がこの問題に激しく「反応」した経過から書き始める。

 かれこれ10数年通っている中華料理店が朝霞市にある。このお店、国労闘争団だった友人の自宅近くにあったそうだが、その後、勤務地近くの荒川区東日暮里に移転した時に紹介された。当時「薬膳中華」を前面に出していたが、立地が悪く、客の入りはよくなかった。そこで「月イチトーク」という、ゲストに話してもらって食事するというイベントで集客に協力した。(写真=お店の自家製料理)

 その後契約更新を機に現在の朝霞市に移転。ここは駅からも遠く、「歴代」の飲食店はことごとく短期間で撤退、今回も「どうせすぐ閉店する」と噂されたようだ。

 移転後は薬膳系料理を残しつつ、町中華メニューをメインにし、徐々に常連客が増え、コロナの頃からどんどん伸び始めた。宅配業者の普及もあと押ししているが、改装してカウンターだけでなく2~4人がけテーブル席を作ったことでカップルやファミリー客が増え、土日は満席になるほどになった。

 移転後からずっと店舗と住宅兼用で使っていたが、今年になってから別に居住用の家を借りたいと言い出した。契約直前、家主が「外国人には貸せない」と断られ、その後ようやく高架線下の条件が悪い物件を借りられた。職住分離はお嬢さんが高校生になり、手狭になったからかと推察した程度で、本当に借りる理由は聞かないままだった。

 4月、食事が終わりかけた時、突然「資本金が3千万円になり、従業員も常時雇いの日本人をいれなければならなくなる」「来年のビザ更新出来ても3年で、この条件が義務化されるのでもう日本にはいられなくなる」と。ここで初めて事態の深刻さに気がついた。うかつにも私は昨秋の改悪を知らなかった。来年の更新時には、職住分離していないとビザが出ないという理由もわかった。

 改悪の内容を調べて驚いた。これでは日本に定着している各国料理店が姿を消すことに直結する。改悪の概要については鶴ヶ島たろうさんのクラウドファンディング解説が分かりやすいので、その一部を引用する。 

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●何が起きたか:2025年10月の省令改正で、外国人が日本で事業を営むための在留資格「経営・管理」の資本金要件が500万円から3,000万円に引き上げられました。
●何が問題か:長年営業し、納税・雇用の実績がある外国人飲食店経営者が、一律の資本金基準で排除されます。一方、本来の対象であるペーパーカンパニーへの効果は限定的です。
●何を求めるか:資本金額ではなく事業実態(営業・納税・雇用実績)に基づく審査基準への転換、経過措置の延長、定量的な影響評価の実施・公開を求めます。

【何が変わったのか】
2025年10月16日、外国人が日本で事業を営むための在留資格「経営・管理」の許可基準が大きく変わりました。
〈事業規模の要件構造〉
改正前:「常勤職員2人以上」または「資本金500万円以上」の"いずれか"で足りた
改正後:「常勤職員1人以上」かつ「事業用財産の総額3,000万円以上」の"両方"が必要に
〈金額〉
改正前:500万円以上
改正後:3,000万円以上(改正前の6倍)
〈常勤職員〉
改正前:2人以上(資本金要件との択一)
改正後:1人以上(財産要件と同時に充足が必要)
旧制度では資本金500万円を用意すれば常勤職員がいなくても基準を満たせましたが、新制度では3,000万円の財産と常勤雇用の両方を同時に求められます。しかも、公式Q&Aでは資本準備金や利益剰余金は「事業用財産の総額」に含まれないと整理されており、事実上、払込済みの資本金を3,000万円まで積み上げる必要があります。
東京都は公式なスタートアップビザの案内で、改正後の要件について「外国人が国内のパートナーなしに、一人で起業することは極めて困難」と明記しています。
【改正の経緯】
2025年8月26日:省令改正案の意見公募(パブリックコメント)開始
2025年9月25日:意見公募締切(702件の意見提出)
2025年10月10日:省令公布(法務省令第50号・第51号)。「修正有」とされたが要件の根本 
的見直しには至らず
2025年10月16日:施行
この改正は国会審議を経ず、省令(行政立法)として実施されました。
既に「経営・管理」で在留中の方には、施行後3年間(2028年10月16日まで)の経過措置が設けられています。この期間中は新基準に未適合でも総合判断するとされていますが、28年10月16日以降は新基準の充足が原則必要です。
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