2026年4月23日 ケイトリン・クラーク/ リサ・シュー
【レイバーノーツ誌5月号は世界最大の食肉加工会社JBS社での3週間ストライキの勝利を報道している。食肉加工産業は50万人を雇用する一大産業であり、その大半が移民労働者により担われている。その労働組合は歴史的に戦闘的、先進的だったことで知られている。しかし、1985年のミネソタ州オースティンのホーメル社での1年を越えるストライキの敗北の後、大きなストライキはなくなっていた。57の言語を話す3800人の労働者によるこのストライキの勝利は注目に値する。 レイバーネット国際部 山崎精一】

3月16日、コロラド州グリーリーにある全米食品商業労組UFCWローカル7に所属する食肉加工労働者3,800人が、この産業で40年ぶりとなる大規模なストライキを開始した。世界最大の食肉加工業社であるJBS社のグリーリー牛肉加工工場で、労働者がストライキを行ったのは史上初めてのことだった。このストライキは3週間にわたって続き、その理由は不当労働行為であった。JBS社に対する不当労働行為の申し立てには、労使交渉委員会のメンバーに対する違法な解雇や、組合活動への参加を理由とした労働者への監視・威嚇などが含まれていた。
57の言語が話されているこの工場では主に移民で構成される労働者が団結してストを行い、世界最大の食肉加工会社と対峙した。ローカル7は昨年7月に労働協約の期限が切れた後、1年近く協約改定交渉を続けていた。ストライキ後、JBS社は交渉の席に戻り、事態が落ち着く頃には、同社はほぼすべての要求を受け入れていた。
勝ち取った保護具
労働協約の期間は2年間だが、その間に時給1.50ドルの賃上げを勝ち取り、さらに保護具に関する画期的な成果を勝ち取った。保護具を紛失、破損、または盗難に遭った際には補充するために賃金から天引きする、これまでのやり方は撤回された。JBS社はメッシュ付きの作業服、手袋、腕甲、包丁研ぎ器の代金として、最大1,100ドルを天引きしていた。
「保護具を盗まれたこともあります」と解体作業に携わるクリス・レディは言う。「自分で買うまで、包丁を借りていました… これまでにメッシュ手袋を2組購入しました。200ドルです。腹立たしいことでしたが、どうしようもないと感じていました。仕事をするにはその保護具が必要だったので、自腹を切るしかなかったのです」
今後、労働者は過去1年間に自己負担したすべての保護具費用について払い戻しを受けることになる。新しい協約により、保護具の交換に関するより適切な追跡システムが確立される予定だ。そのシステムが整うまでは、必要な交換品について組合員に費用は請求されない。
「このストライキは、この工場の労働者が強固な結束力を持っていることを会社に示し、工場を動かしているのは労働者なのだということを全世界に示すためのものでした。」と、ローカル7のキム・コルドバ委員長は語った。
グリーリー工場の労働者たちは、「ビッグ4」と呼ばれる食肉加工大手4社による寡占支配に決定的な一撃を加えた。ビッグ4は長年にわたり結託し、労働者の賃金を抑え込み、牧場主の生計を圧迫し、消費者の価格を引き上げてきた。JBS社はこれらの中で最大手であり、最も略奪的な企業だと言われている。他の3社はタイソン、カーギル、ナショナル・ビーフである。
ライン停止状態に
数十の言語を話す3,800人の労働者を組織化することは、決して容易なことではなかった。ストライキに向けて、職場代表、ウォーキング・スチュワード(組合の役職として、使用者からフルタイムの給与を受け取り、その職務を遂行する職場委員)、そして90人のストライキ・ピケット隊長からなる体制が構築され、団結したピケットラインの基盤が築かれた。テキストメッセージ、電子メール、ソーシャルメディアを活用した連絡体制は、最も広く話されている言語——スペイン語、ビルマ語、フランス語、ハイチ・クレオール語——に翻訳され、組合員への情報伝達を確実なものにした。ストライキ前の集会では、ストライキ手当の受給登録を行うとともに、ピケに関 する権利について組合員に周知した。
要求事項をめぐる団結に加え、会社に対する広範で根深い不満もあったので、ストライキ期間中の団結は揺るぎないものだった。ストライキのピケには地域社会や他の労働組合、遠くからの支援者たちから寄せられる声援が届き、世界各国の音楽に合わせて喜びに満ちたシュプレヒコールや歌、踊りが溢れていた。ボストン、ミネアポリス、シアトルといった遠方からも、UFCWの組合員やスタッフがピケラインを支援するために駆けつけた。
全国的な牛の供給不足により工場の生産能力が過剰になっているため、牛肉加工業界においてストライキを行うには最適な時期ではないと業界筋は見ていた。大手4社が結託して牛の価格を押し下げ、農家を廃業に追い込んでいることがその原因だ。「価格があまりにも低いため、生産者は牛を繁殖させていない」とコルドバ委員長は述べた。
JBS社が生産の一部を停止し、牛を他の工場に振り向け、ストライキが収まるのを辛抱強く待つ対応を取るだろうと考える者もいた。しかし、牛をコストをかけずに振り向けることはできない。JBS社は数千頭の牛を大平原を越えて輸送しなければならなくなる。米国農務省の規制によれば、牛は事前に購入され、輸送後は速やかに屠殺されなければならない。JBS社はユタ州、テキサス州、ネブラスカ州にある数百マイル離れた自社の他の施設へ、牛の約40%しか振り向けることができなかった。さらに追加の牛を処理するために従業員に時間外手当を支払わなければならなかった。残りの60%の牛は競合他社に送られた。
グリーリー工場が実質的に稼働停止状態となり、さらに牛の振り分けにかかるコストも重なり、JBS社はストライキ期間中に多額の収益を失った。同工場は通常、1日あたり5,000~6,000頭の牛を処理しており、同社に1日2,000万~3,000万ドルの収益をもたらしていた。
同社は工場を稼働させようと管理職を投入したが、処理できたのは牛のごく一部に過ぎなかった。工場の中核部門である牛肉を販売可能な小分けの部位に切り分ける工程は、全く稼働できなかった。労働者たちの推定では、この加工ラインを維持するには数百人の労働者が必要とされる。JBSはスト破り労働者の投入に苦戦した。募集が困難だった上、食肉加工労働者の訓練には、生産現場に立つまでに1週間以上を要するからだ。
ストライキ終了から数週間経っても、JBS社は依然として操業停止の影響を受けていた。牛肉加工の生産を再開するには時間がかかるためだ。また、会社は労働者がいつ再びストライキに突入するかも予測できなかった。「我々は会社に大きな打撃を与えた」とコルドバ委員長は語った。
ストライキは当初2週間の予定だったが、その後3週目に延長された。なぜ無期限のストライキにしなかったのか? 長期化したストライキが牛の価格を押し下げれば、それはビッグ4の思惑に利用されることになる、とコルドバ委員長は主張する。ビッグ4は生牛の仕入れ価格と、最終的に消費者に請求する加工肉価格の差額で利益を得ているからだ。
「価格は70年ぶりの安値にあり、牛の供給不足も起きている。これはビッグ4の寡占力によるものだ」とコルドバ委員長は語る。「JBS社は余剰生産能力があるため打撃を与えにくいが、牛の振り向け調整ができないために、短期間のストライキの方が実際にはより大きな損害をもたらしたのだ」
全国規模の協約交渉
昨年、JBS社とUFCW本部との間で交わされた全国規模の協約交渉からローカル7は離脱した。この協約交渉には全米の他の12のローカルが管轄する牛肉・豚肉加工工場が加わっていた。全国協約は昨年5月に批准された。これは、UFCWの食肉加工部門における協約交渉の強化に向けた一歩となった。
ローカル7は、コロラド州の高い生活費や、保護具など協約上の優先事項の違いを理由に、この全国交渉からの離脱を決定した。しかし、ローカル7は従来からJBS傘下の各ローカルの中で先導的な役割を果たしており、より強力な保護具条項が盛り込まれた協約を勝ち取ってきていた。今回のストライキによる成果は、概ねこの傾向をさらに強固なものにした。保護具に関する新たな基準の設定に加え、ローカル7の協約合意には、より高い賃上げ(全国協約の2年間で時給0.90ドル増に対し、ローカル7では2年間で時給1.50ドル増)、健康保険掛け金の引き下げ、そしてより手厚い病気休暇および有給休暇の制度が含まれている。
ローカル7の協約は2028年4月30日に満了する。全国協約交渉に参加した12のローカルの協約満了日は、2026年から2029年までさまざまだ。
「ビッグ4」との闘い
現在、ローカル7とUFCW本部は、食肉加工労働者全体のための法的保護の強化を求めて闘っている。連邦議会の独占打破議員連盟が主導する議会公聴会が5月にグリーリーで開催される予定であり、ビッグ4によって引き起こされた、全国の消費者、食肉加工労働者、および畜産農家の危機について議論されることになっている。また、UFCW本部は最近、書簡キャンペーンを開始し、豚肉および鶏肉加工におけるライン速度の引き上げをもたらす規制緩和の動きに反対するよう求める4万2,000通のパブリックコメントを農務省に送付した。
さらに、ローカル7はコロラド州の州議会議員に対し、従業員500人以上の食肉加工事業者に、妥当なトイレ休憩を保証することを義務付ける法律の可決を求めている。JBSグリーリー工場ではトイレ休憩は以前から問題となっていたという。「会社は従業員をトイレに行かせるのを嫌がる。休憩時間になるまでラインから離れさせないんだ」とレディは語った。しかし、休憩時間中にトイレに行こうとすると、本来休息すべき時間がなくなってしまう。「最初の休憩時間は15分のはずですが、実際には7分か8分程度です。保護具をすべて外すのに2、3分かかります。それからまた着けるのに、さらに2、3分かかるのです。」
今後数年のうちに、いくつかローカルがJBS社との交渉の席に戻ることになり、将来的な連携の可能性が開かれる見込みだ。2028年には、ローカル7とミネソタローカル663がともに新たな協定の交渉を行う予定である。

