2026年5月22日 ルネ・カブレラ/プリシラ・エスパーザ(レイバーノーツ・インターン)

【レイバーノーツ6月号はアメリカでのメーデーの取り組みを報じる同誌インターン二人の記事を掲載している。アメリカでは9月のレイバーデーが労働者の祭典とされ、メーデーが大きく取り組まれるようになったの最近のことである。その背景として、全米自動車労組UAWショーン・フェイン会長が全産業の労働協約の期限を2028年4月30日に揃えることにより、5月1日からゼネストに入ることを提案したことがある。そのために今年のメーデーは全国4000か所で集会やデモが行われただけではなく、ストライキなどの実力行動も取り組まれたことが注目される。 レイバーネット国際部 山崎精一】             

ニューヨーク市でのメーデーに参加した建設労働組合レイバラーズ労組の組合員たち
 

 5月1日はメーデー、アメリカ全土および世界中の人々が集会などの行動に参加し、「億万長者よりも労働者を(Workers over Billionaires)」と訴えた。アメリカでは労働者が大都市から小さな町にいたるまで4,000以上のメーデー行動を展開した。メーデー行動は「富裕層への課税」「ICE(移民・関税執行局)へのノー」「企業権力ではなく民主主義の拡大」という3つの要求に焦点を当てた。今回の抗議活動は、最高裁判所が投票権法をさらに骨抜きにする決定を下した直後、またイランやレバノンでの長引く戦争、そして移民コミュニティに対するICEの継続的な襲撃の最中に行われた。1880年代にメーデーの発祥となったヘイマーケット事件の犠牲者たちが命を懸けて戦ったと同じ「反労働者」「反移民」「反民主主義」の攻撃をトランプ政権が仕掛けている。「メーデー・ストロング(May Day Strong)」連合(*注)は、5月1日を「働かず・登校せず・買い物をしない」1日とするよう呼びかけた。この呼びかけが大規模な集会を引き起こし、ノースカロライナ州では実害を伴う直接行動へとつながった。数千人の教育労働者が「企業よりも子どもたちの利益を(Kids Over Corporations)」という動員の一環として州都ローリーへと行進したため、20以上の学区が休校となった。テネシー州メンフィスでは、学生の抗議者たちが、億万長者イーロン・マスクのxAIデータセンターによる工業汚染に抗議するため、ダイ・イン抗議デモを行った。

 シカゴの熱気あふれるメーデー集会は、シカゴ教職員組合(CTU)、アライズ・シカゴ、イリノイ移民・難民権利連合、全米サービス従業員組合SEIUのイリノイ・インディアナ州病院組合など、市全域の組織が結集した。この日は朝から、ハイランズ不動産投資信託のCEOに対する抗議行動も行われた。同社は、ICEが拘留施設として借りることを望んでいるコロラド州の刑務所を所有している。シカゴ教職員組合CTUはメーデーを「市民参加の日」にすることを目指した。「私たちは学区と交渉し、5月1日を公式の『市民行動の日』とし、生徒や教育労働者のためのバスを確保し、参加した者が誰も報復を受けないよう保証させました」と、CTU副委員長のジャクソン・ポッターは述べた。「このメーデーで起きたことは、突然どこからともなく湧いて出たわけではありません」とポッターは言う。「シカゴをはじめ、メンフィスからフィラデルフィア、デンバーにいたるまで、全国の都市での連帯学校、ピケライン、そして数ヶ月に及ぶ組織化の成果です」。

ストライキと集会】

 連帯の意志を示すため、ニューヨーク市の議員や、アマゾンの労働者、全米チームスターズ労組のメンバーらがアマゾン社へと行進し、国土安全保障省(DHS)との契約を打ち切るよう求めた。その後、数千人がワシントン・スクエア・パークに集結し、ブロードウェイを下ってフォレイ・スクエアまで行進した。最も大きな一団は、近隣の州からローカル78および79に合流するためにやってきた建設労働者の組合レイバラーズ労組で、公園をオレンジ色のシャツの海へと変えた。これまでのメーデー集会とは異なり、ホテル・ゲーミング労働組合、SEIU 32BJ、プロフェッショナル・スタッフ評議会、国際舞台演劇映画演劇労働組合IATSEの舞台裏スタッフ、全米自動車労組UAW、アメリカ州郡自治体従業員組合連合AFSCMEのディストリクト・カウンシル37、ニューヨーク市タクシー労働者同盟、そしていくつかの連邦政府労働組合など、多くの労働組合がかなりの規模のグループを動員した。

 反移民攻撃に対する抵抗はサンフランシスコでも同様に見られ、サンフランシスコ国際空港での封鎖行動中に複数の議員が逮捕された。この行動は賃金引き上げと空港からのICEの排除を求めてピケを張る組合員を支援するものだった。

 ニューオーリンズでは、メーデー当日にLCMCヘルス病院に対する5日間の不当労働行為抗議ストライキに突入した全米看護師労組NNUの地元メンバーを支援するために抗議者が集まった。この大病院は2年以上にわたり、交渉を遅らせ、不誠実な対応を続けてきた。組合結成の動きに対するあからさまな報復が行われたが、看護師たちが経営陣に立ち向かい、地域社会の支持を集めることを止めることはできなかった。

 ミネアポリスでもさらに2つのメーデー・ストライキが見られた。ノーマンディー・ホテルとホテル・アイビーの従業員が5月1日に職場を放棄し、ホテル側が誠実に交渉に応じるよう求めた。また同日後半には、全米ホテル・サービス従業員組合UNITE HERE ローカル17の売店労働者たちが、初となるストライキ権確立のための投票を行なった。一方、環境正義団体サンライズ・ツインシティーズは、コミュニティにおけるICEの恐怖政治に抗議するため、ヘネピン・アベニュー橋を封鎖する平和的な直接行動を行なった。100人の人々が連帯して立ち上がり、歌い、シュプレヒコールを上げた。この行動で6人の活動家が逮捕された。

 ケンタッキー州ルイビルでは初のメーデー行動が開催され、労働者階級の利益と地域社会への参加の意義が強調された。これまでは地元のケンタッキーダービーの祭典とスケジュールが重なっていたため、メーデー開催が見送られてきたが、この初のイベントにより、同州での多国籍の労働者集会の基礎がしっかりと築かれた。UAWローカル862、ケンタッキーAFL-CIO、ルイビル・アメリカ民主社会主義者DSA、チームスターズ労組・ローカル89の代表者が演説を行なった。

インランド・エンパイアから抗議の声】

 カリフォルニア州のインランド・エンパイア(ロサンゼルス東部の地域)では、何百人もの住民がインランド移民正義連合、SEIU 2015、チームスターズ、カリフォルニア大学教授会、UAW 4811と一緒にメーデーの集会を行なった。サンバーナーディーノ市庁舎および地元の国土安全保障省の庁舎前を行進し、「IE(インランド・エンパイア)からICEを追い出せ」と叫んだ。この地域には近年、新しい倉庫や物流センターが大量に流入しており、地域住民はこれに抵抗してきた。主に低所得層や移民が暮らすこの地域は、広大な土地、労働力、資源に目をつけた企業によって、物流施設の建設ターゲットにされてきた。企業側は地域社会に雇用をもたらすと約束しているが、そのほとんどは倉庫業であり、危険な環境、生活を維持できない低賃金、福利厚生なし、そしてICEからの保護がない状態に労働者を陥れるものである。アマゾンが機能するためにはインランド・エンパイアが不可欠であり、同社の商品の40%がこの地域を通過している。サンバーナーディーノのアマゾン航空ハブ施設で働き、チームスターズとともに組織化を進めているヴィンセント・クラウスとフアン・メレレスが群衆の前に立ち、アマゾンとICEの協力関係に反対する署名活動への協力を呼びかけた。「私たちは、自分が働いている会社がICEに協力することを望んでいません」とクラウスは述べ、「アマゾンは耳を傾けるべきだ」と訴えた。5月1日の抗議行動は、インランド・エンパイアにおける労働者保護、移民の権利、そして気候正義を要求するために、労働組合と市民団体を一つに結びつけた。

イサカのメーデー】

 ニューヨーク州イサカも、メーデーに集会を行った全米の多くの中小都市や町の一つであった。何百人もの学生や労働者を前に、UAWローカル2300の委員長ジョン・ジャーヴィスは次のように語った。「私たち労働者が手にしているものはすべて、与えられたものではありません。私たちはそれを勝ち取るために闘ってきたのです」。ジャーヴィスのローカル2300は、イサカのメーデー集会を主催した30の労働組合および市民団体の一つである。ローカル2300はコーネル大学の1,000人以上のサービス・維持管理労働者を代表している。イサカのファミリー&チルドレンズ・サービス病院の臨床医であるキャサリン・ジョンソンとメラニー・リトルは、数日前に同僚27人のうち22人とともに労働組合結成に投票したばかりだった。ジョンソンとリトルはともに、職場をアメリカ通信労働組合CWAローカル1111に加盟するために尽力した組織委員会のメンバーであった。ジョンソンは組織化した理由について次のように述べた。「自分たちの仕事をこれからも続けていけると感じるためには、病院内の権力を再分配することがどうしても必要だったのです」。また、福祉切り捨て、移民排斥で非人間的な連邦政策など、現在の自分たちの仕事を取り巻くより広い政治的状況を批判した。リトルはこう付け加えた。「私たちが職場で進めている組織化は、この国、そして世界中で起きている、はるかに大きな運動と重要な取り組みの一部なのです」

*注 アメリカ全国でメーデーの集会やストライキを呼びかけているネットワーク