日本の支援団体が会見し、駐在員が現況を報告、支援訴える

<竪場勝司>

 「世界最悪の人道危機」とも言われ、約1400万人が国内外に避難を余儀なくされているスーダンの現状を知ってもらおうと、支援団体の日本国際ボランティアセンター(JVC)は4月11日、東京都内で記者会見を開いた。スーダンで支援活動に取り組んでいる現地駐在員が現況を報告し、日本の市民に対し、理解と支援を訴えた。

全人口の3分の2が人道支援が必要な状況

 スーダンでは2019年に長期独裁政権が倒れて、民政移管のプロセスが始まったが、移管に向けた軍事統合をめぐって国軍と即応支援部隊(RSF)が対立し、2023年4月15日、首都ハルツームで大規模な戦闘が勃発した。国連などの報告によると、3年が経過する現在でも約1100万人が帰還することができず、全人口の約3分の2,約3040万人が何らかの人道支援を必要とする状況にあるとされる。

 アラブ首長国連邦(UAE)などがRSFに武器などを提供し、エジプトやサウジアラビアなどが国軍を支援していると言われており、他国の関与が長引く戦闘の大きな要因になっている。

 会見ではまず、JVCでスーダン事業を担当している後藤美紀さん(写真)がスーダンについての基本情報や紛争の経緯などについて説明した。後藤さんは「丸3年が経とうとしているが、停戦の兆しは見えず、現地の人々の状況は悪化の一途をたどっている」と指摘。紛争にはドローン攻撃が多用され、学校や病院が狙われて多くの市民が犠牲になっている実態を明らかにした。25年10月にはRSFが北ダルフール州のエル・ファーシルを攻撃し、病院の患者ら460人以上が殺害された。特定民族を標的とした大量虐殺もあり3日間で6000人以上の市民が殺害されたという。

 戦闘が続いた結果、スーダンの子どもの75%が学校に通えておらず、55%以上の学校が閉校。食糧不安に陥っている住民は全体の45%に及ぶ。後藤さんは「草を食べている人や、昆虫を捕まえて食べている人もいる。400万人の5歳未満の子どもたちが急性栄養失調に陥っている」と語った。

避難民の一人ひとりに波乱万丈のドラマが

 オンライン中継で、JVC現地駐在員の今中航さんが登壇した。JVCは紛争前、ハルツームに事務所を置きながら、南コルドファン州のカドグリで活動を行なっていた。紛争後はハルツームからポートスーダンに移動し、カドグリでの活動を続けてきた。今中さんは、ポートスーダンで出会ったたくさんの避難民をスライドで紹介した。RSFから気絶するまで鞭で打たれ、ハルツームからポートスーダンまで逃げ、サンドイッチ屋をやって弟の学費を払い、遠くにいる家族の生活を支えている男性などのエピソードに触れ、「一人ひとりにいろんなドラマがあって、波乱万丈がありながら、何とか生きている人々を、この3年間、見続けてきた」と振り返った。

 今中さんはカドグリでの補習校の支援活動や、種子の配布活動などについても説明した。ドローン攻撃が急激に増えていることや、25年に国軍がハルツームを奪還してから、ほとんどの省庁がハルツームに戻るなど、徐々に復活しつつある首都の状況についても触れた。今後のハルツームで取り組むJVCの事業としては、紛争でダメージを受けた45校の校舎や設備の修復を挙げた。

 記者会見の終了後には、参加者一人ひとりが折り紙でスーダンの国花ハイビスカスを折り、メッセージを書き込む、折り紙アクションも行なわれた。(写真↓)