
<植松青児>
3月28日夕方開かれた「平和フェス」の途中、1000人以上の市民の中から「高市やめろ」というチャント(デモコール)が起こり、それが参加者全体に広がり、新宿駅東南口広場全体の「空気」が一変していく。広場全体が「高市やめろ」コールで埋め尽くされた。東南口改札方面からエスカレーターや階段で広場に降りてきた通行者たちはみな驚いているが、やがて口元が緩み、微笑む人も少なくない。ああ、みんなうすうす(トランプ会談以降)そう思っているのね。
イラン戦争開始・高市訪米以降、街頭行動に参加する市民の数はどんどん増えている。世代比もジェンダーも激変している。しかし「質」の深化ももっと注目されるべきだと思う。
10年前の「シールズ」があえて戦後民主主義のフレームにこだわり、立憲主義を「保守する」という構えを採ったのに対し、この日マイクを持った人たちは、植民地主義、侵略戦争の加害、沖縄に対する差別構造、入管体制の暴力の問題などを当たり前のように語り、それを参加者が普通に聞いている。そして妨害に来た差別排外主義者を「レイシスト帰れ」とコールして退散させていく。運動の思想面の深まりを言語化してくれる研究者やジャーナリスト、現場にぜひ来てください。
今回の「平和フェス」は、「アンパンマンのテーマ」を歌うなど「間口の広さ」を意識したコンテンツと、琉球弧の自衛隊「南西シフト」に抗い続ける「島じまスタンディング」のゲストスピーチなど「奥行き」を深めるコンテンツ、そして映像「戦争のつくりかた」上映などが組み合わさり、しかもそれらが散漫にならず絶妙に絡み合うような構成になっていた。
進行を務めたのは、この企画を一人で発案し立ち上げた中山永月さん。約10人の協力者との協業で「平和フェス」を立ち上げた。中山さんは、市民運動では一般的な、参加者のテンションを上げていくような声の出し方をしない。日常会話と同じような
テンションで「高市やめろ」「レイシスト帰れ」「民主主義サイコー」とコールしていく。まるで当たり前の言葉のように。
発せられる言葉だけではない。デタラメすぎるトランプ、高市、そしてイスラエルの横暴に対して、路上で抗う市民はお互いを無言で励まし合っている。誰かの勇気が別の誰かを勇気づける、そういう循環が生まれているように思う。
変化はどんどん続いていくだろう。この先、想像できなかった光景が路上で出現しているかもしれない、そういう予感がする。


