●根津公子の都教委傍聴記(2026年3月26日)

 年度末だからか議題がたくさんあったからか、通常より30分早くの開始で公開議題は11時終了。「懲戒処分等について」の非公開議題(軽い処分の報告ではなく、重い処分とされるだろう議案)に時間がかかるということかと思いながら会場を後にした。

 服務事故はたいてい半月後にHPにアップされる。前回3月5日の定例会で決まったであろう服務事故について、昨日都教委HPの「3/23発表 教職員服務」を閲覧してびっくり仰天! なんと、1人が失職(児童買春・ポルノ禁止法違反で逮捕・起訴)、18人が懲戒処分。18人中7人は懲戒免職。「駅構内において、女性に対して、その後方から、手に持った動画撮影状態のスマートフォンで、同女性が着用していたスカート内を撮影した」副校長や「ホテルにおいて、勤務校生徒の保護者と性行為を行った。」主任教諭等々。

小学生に相談を呼びかける都教委のポスター

 毎年7月頃に服務事故再発防止月間が設けられ、校内で研修が行われるが、その成果は全くないどころか、年々犯罪行為と言える服務事故が増えている。こうした服務事故の増加と教員の精神疾患、子どもの不登校の増加も比例している。この現実を、都教委事務方及び教育委員はどう考えているのか。都教委が「東京モデル」的な新たな教育施策を次々に打ち出しても、子どもも教員も学校が嫌いになるばかり。解決に向かっていない。都教委のすべきことは、新たな施策を打ち出すことではなく、子どもたちが、学校が楽しいところと思えるようにつくり変えること。そのためには、都教委の指示命令に教員を従わせることをやめ、教員・学校が主体となって学校をつくるよう、子ども・教員・学校に学校運営を任せるべきなのだ。都教委は真摯にこのことを考えてほしい。

 公開議案は、①「(仮称)子供(ママ)・若者体験活動施設区部基本計画について」 ②「第五次子供(ママ)読書活動推進計画について」 ③「令和8年度東京都教科用図書選定審議会への諮問事項について」 ④「部活動改革及び地域クラブ活動の推進に関する推進計画について」 ⑤東京都における中学校の部活動改革に関する推進計画について。公開報告が、⑥「都立高校の部活特別強化プロジェクトについて ⑦「令和7年度東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査結果について ⑧「『新たな教育のスタイル』の確立に向けた『次世代の学びの基盤プロジェクト』中間とりまとめについて」 ⑨「港区白金地区『新たな教育のスタイル』の実施校(仮称)の構想について」。

 区部につくられ2032年度から運営となる①、読書に取り組むことを促そうとする②、これまで各学校が単独で行ってきた部活動を、地域展開、複数校の連携、外部人材の活用によって、教員の負担を軽減する④⑤、これらはすべてパブコメを経て今日の定例会で承認された。

 ⑧⑨についてざっと報告すると――。
⑧『新たな教育のスタイル』の確立に向けた『次世代の学びの基盤プロジェクト』中間とりまとめについて 
 「予測できない状況に柔軟に対応できる、世界で生き抜く人材の育成が必要」であり、「日々進化する生成AIなどのデジタルをリアルの学びに組み合わせる取り組みが不可欠」な今日、「最先端の知識を主体的に学び、AIを駆使して新しい価値を創造し、世界で生き抜く『自立した学習者』を育成する」のだという。今年度中に最終とりまとめを行い、2028年度から複数(3校)の都立高で「新たな教育のスタイル」の重点的な取り組みを展開するという。
こんな教育が大事だとは、私にはとっても思えない。人と人とが考え合い、自己の思想・良心を形成する場が学校教育では大事にすべきことではないか。

⑨ 港区白金地区『新たな教育のスタイル』の実施校(仮称)の構想について
 「新たな教育のスタイル」の基幹校として2028年度に開校となる。この学校の「教育方針」は「デジタルの力で、学びを究める進学校~自分を磨いて、白金から世界へ~」。「AI」と「グローバル・リーダー」の力を結集して「プラチナ・カリキュラム(仮称)」でこれを実現するという。これまでの一斉授業ではなく、自分の「究めたい」学びを自分で決め、行うのだという。教員は生徒の伴走者。
 この学校は「国内外の最難関大学(リベラル・理工等)への進学」や「グローバルに貢献できる先端人材」を進路としてイメージしているともいう。
 国際社会をイメージするならば、都教委は「日の丸・君が代」尊重の刷り込みを止め、日本が行った侵略・植民地の歴史の事実を生徒たちに教えるのだろうか。それなくしては、多様な価値観を認め合う「グローバル」には到達し得ないと思うのだが…。
 夜間定時制に通いたい生徒の声は握りつぶすのに、エリート校にはふんだんに金を注ぎ込む。都教委の姿勢が、弱肉強食を良しとするからだ。