入管法改悪反対行動より

2026年5月22日
入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連 代表 弁護士 指宿 昭一

本日、法務大臣会見において「不法滞在者ゼロプラン〜強力推進パッケージ〜」が公表された。入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合は、本パッケージ、とりわけ「収容した上での帰国説得」をはじめとする被仮放免者への非人道的な施策に対し、満腔の怒りをもって強く抗議し、直ちに撤回することを求める。

第一に、パッケージに明記された「帰国説得」とは、実態としては心身を追い詰める「帰国強要」にほかならない。2021年、名古屋入管で亡くなったウィシュマ・サンダマリさんは、帰国を拒む中で必要な医療措置を受けられず、文字通り「見殺し」にされた。送還業務を人命よりも優先させるという、ウィシュマさんを死に至らしめた悪夢のような帰国強要を再び推し進めることは断じて許されない。

第二に、この帰国強要の下で、日本人や永住者の配偶者、日本で就学し成長してきた未成年者、さらには帰国すれば迫害の危険がある難民申請者などが、家族結合の権利を破壊され、生命と身体を深刻な危険にさらされる。パッケージには難民認定申請のB案件の処理促進も盛り込まれており、これは保護されるべき難民を機械的に振り分け、切り捨てるものである。

第三に、健康上の理由で仮放免された者を、一時的な健康状態の回復を理由に「要件を満たさなくなった」として再収容することは、再びその健康状態の悪化を確実にもたらす残虐な行為である。かつて入管は、ハンガーストライキで健康を害した被収容者に対し、短期間だけ仮放免して体力を回復させ、再び収容するという非人道的な運用を繰り返した。この問題に対し、2020年9月、国連恣意的拘禁作業部会は日本の入管収容を「恣意的拘禁に当たり、自由権規約等に違反する」とする厳しい意見を採択している。さらに、2025年6月17日には東京地裁において、うつ状態など健康状態が悪化しているにもかかわらず収容を継続したことについて、「許容されない恣意的拘禁に当たり違法」として国の賠償責任を認める判決が下されたばかりである。国連の勧告や司法の違法判断を完全に無視し、同じ人権侵害を繰り返そうとする入管の姿勢は言語道断である。

さらに、現在の被仮放免者は就労も公的医療保険も生活保護の利用も認められず、生存そのものが脅かされる極限状態に置かれている。この生存権を否定する過酷な現状を放置・温存したまま、動静監視や不法就労の摘発強化のみを推し進めることは、彼らから生きる道そのものを奪い、実質的に帰国を強要する「兵糧攻め」に他ならない。順序が全く逆であり、まずは就労の許可や公的支援の適用など、彼らが日本で人間らしく生存できる状況への制度改革こそが先決である。

また、「早く帰れば良かった」といった被送還者の声をアウトリーチ型で広める施策は、国家権力によって心身ともに限界まで追い詰められ、やむなく帰国を「選ばされた」人々の絶望の声を、現在日本で苦しむ別の仮放免者を心理的に追い詰めるための道具として利用するものである。これは単なる心理的圧迫を超えた、国家による極めて悪質でおぞましいプロパガンダであり、強い怒りを覚える。

私たち市民連合は、人権と人命よりも送還を優先する政府の姿勢を絶対に容認しない。政府・法務省に対し、「ゼロプラン強力パッケージ」の即時撤回と、国際人権法を遵守した入管行政への抜本的転換を強く求める。

以上