
<大場ひろみ>
連日の寒の戻りが緩んで、晴天の3月14日、家賃の高騰に悲鳴を上げる市民が、「家賃高すぎ。何とかしろ!」デモに集まり、新宿の街を練り歩いた。主催は「住まいの貧困に取り組むネットワーク」×「首都圏青年ユニオン」で、協賛として「東京地方労働組合評議会」と「国民の住まいを守る全国連絡会」が参加している。
気持ちの良いデモ日和だ。三々五々新宿東口前の集まった様々な人びとは、労働運動系のイベントより若者が多い。それもそのはず、今回のデモは主催団体の中から若者が中心になって呼びかけた。

参加団体の一つ、「全国借地借家人組合連合会」では、昨年から3回、「賃料値上げトラブル110番」という弁護士が対応する電話相談を行っているが、毎回電話が鳴りやまない状態で、切実な声が寄せられる。賃金は上がらないのに、家賃の値上げを要求され、このままでは東京に住めない、生活保護で受ける家賃扶助(最も高い東京23区で単身者上限53700円)では払いきれないなど、集まり続ける声の多さに、このままではいけないと、デモの呼びかけが始まった。
掲げる要求はシンプルである。現在東京23区では単身者向け1Rで10万を超える家賃。しかも地価・マンション価格高騰に乗じてか、家主、不動産屋から値上げ宣告を告げられる借主が相次いでいるという。それもいきなり5千~1万円上げなど。富裕層にとっては鼻毛ほどの金額でもないだろうが、それが引き金になって生活がたちいかなくなる人びとが多数存在するのが今の日本だ。10万の家賃を払うには、いったいいくら稼げばいいのか。そんな賃金もらってない、まず家賃を下げろ!だ。
具体的要求を、プラカードから拾ってみる。「家賃ブレーキ制度」「公営住宅を増やそう」「家賃補助の実施」「住宅扶助の給付額の引き上げ」…
サウンドカーが先導するデモでは、シュプレヒコールはラップ調だ。「家賃バカ高」「給料バカ安」「家賃が高くて眠れない」「家賃下げれば旅行に行ける」そう、暮らしに回す金も節約し、何もかも我慢してやっと生きている実情を「高市首相聞いてるか!」「小池都知事も聞いてるか!」
サウンドカーからスピーチが流れる。『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?』などの著書がある和田静香さんが「公営住宅はもう20年以上も新しく建てていない。昔みたいな団地の大型集合住宅でなく、小ぶりな公営住宅を建てる政策をと専門家がアドバイスしているのに国や自治体は耳を貸さない」と政策の在り方を批判。「住まいの貧困に取り組むネットワーク」世話人の稲葉剛さんは「独身者、年収200万円代、子育て世代も家賃が高いと実感、今や住宅費が高いという層がマジョリティだ。生活費を削るか引っ越すかという選択を迫られるということは、生活者の追い出し、ソフトなジェントリフィケーションが進んでいるということ。これは自己責任ではなく、政治の責任だ。多くの国では住まいに対し補助金がある。これは当たり前のことなのだ」と、両者が政治にノーを突き付けた。
途中でデモに加わる人も含めて、200強、300弱の参加者だったろうか(団体発表未確認)。住まいの問題は待ったがきかない。今すぐの対応が求められる。「住まいは人権」のスローガンが響き渡った一日だった。
*4月15日(水)のレイバーネットTVでは、住まいの問題を特集する予定。

