
米・トランプ大統領によるベネズエラ侵略から1週間の10日、「緊急ウェブセミナー・ベネズエラの現状報告」(主催:日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会=日本AALA)がありました。3時間半に及んだ内容から、特に印象に残った報告・問題提起のエッセンスを紹介します(以下、私の要約)。
エルナン・バルガス氏(コムーナ大学教授、コムーナ省副大臣)現地ベネズエラからオンラインで報告
今回のトランプ大統領による攻撃は明らかな軍事的再植民地化だ。ベネズエラ国内でそれを支持しているものは1人もいないだろう。
ベネズエラは今もすべて憲法に基づいた政治が行われている。27年前に始まった「ボリバル革命」(1999年の大統領選挙で当選したチャベスが進めた民主化―私)が今も続いている。全国には5000以上のコムーナ(地域共同体)があり、予算もその協議で決められる。1年に3万5000以上のプロジェクトが行われている。ベネズエラでは民主主義・人権が尊重されている。
今必要なことは、第1に、アメリカの軍事攻撃を批判すること。第2に、マドゥロ大統領の即時解放を要求すること。第3に、ベネズエラの主権を尊重すること。外国の統治を許してはならない。
世界が1つになって一緒に声を上げ、帝国主義と闘うことが必要だ。
山崎圭一氏(横浜国立大教授)
アメリカの軍事攻撃に対しベネズエラはいま、非戦の対応を続けている。従来、「非戦は現実的でない」といわれてきたが、むしろ非戦こそ現実的になっているのではないだろうか。これは日本にとってたいへん重要な教訓となるだろう。
西谷修氏(東京外語大名誉教授)
今回の事態はチャベス大統領が進めてきた民主化に対するアメリカの20数年に及ぶ攻撃の流れの中にある。それにトランプ個人の異常さが加わっている。彼には公私の区別がない。見境のない暴力の行使。国家として狂気の段階だ。危機の根源はここにある。
いま問題にすべきはアメリカの国際法・国連憲章違反であり、マドゥロ政権の性格の問題ではない。国連はアメリカに制裁を加えなければならない。
「西側先進国」は国連の外にG7 をつくった。これに対し「西側」の価値観を共有しないブリックス(ブラジル、インド、ロシア、中国など10カ国の国際会議―私)という非同盟の連携がある。それはGDPや人口でG7を上回っている。
国際法を一番必要としているのは非同盟諸国だ。アメリカにタガをはめることができるのは非同盟諸国の連帯しかない。対米従属の日米同盟に根拠はない。日本も非同盟諸国に加わるべきだ。
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ベネズエラの国内状況について、メディアの報道とバルガス氏の報告は大きく相違しています。とりわけ「コムーナ」は非常に興味深い取り組みです。
山崎氏が注目したベネズエラの非戦のたたかいこそ、日本国憲法の平和主義に通じるものです。それが「現実的になっている」という指摘は重要です。
西谷氏が強調した、日米軍事同盟(安保条約)の解消、そして非同盟諸国との連帯こそ日本の進むべき道だと確信します。(写真は米の侵略に抗議するベネズエラの人びと)。

