●根津公子の都教委傍聴記(2026年4月9日)

 往復時間5時間をかけて公開議題の審議時間はたったの20分。今日も非公開の議案、報告ともに懲戒処分が上がっていた。公開議題は、①来年度都立高校、都立特別支援学校高等部の教科書採択方針について ②TEP-CUP(東京都高等学校英語プレゼンテーションコンテスト2026実施について。

 教科書採択方針については、毎年の教科書採択スケジュールに則ってのこと。TEP-CUPについては、実施すべきではないとまでは言わないが、都教委が今最優先すべき課題ではない、と強く言いたい。都教委が最優先課題として審議すべきは、過去最高を更新する教員不足や教員の精神疾患、子どもの不登校、さらにはこれも増え続けるセクハラ・性犯罪(とりわけ、学校で接している子どもへの)などの懲戒処分についてではないのか。最優先すべき課題に取り組まずに、「都教委は頑張っています!」的なアピールは止めてもらいたいと傍聴するたびに怒りがこみ上げてくる。教育委員は、都教委事務方が出す施策を批判し修正や撤回させることも大きな仕事のはずだ。

・来年度都立高校、都立特別支援学校高等部の教科書採択方針について

 各学校が教科書選定する際に、参考にするようにと、都教委が作成した各教科の「調査研究資料」が各学校に配布される。その項目について、教育委員から「東京の教育方針に照らして新たに作った調査項目はあるか」と質問があり、事務方は「ない。検討を進めていく」と回答。

 私が傍聴するようになって15年、「朝鮮拉致問題」「国旗・国歌」は、都教委が「東京の教育方針」に合わせてずっと社会科教科書の調査項目にしてきた。「朝鮮拉致問題」の記述数はA社「2」、B社「1」、C社「0」というように。片や、「沖縄」や「米軍基地」など、都教委が生徒たちに触れさせたくないであろうことについては、調査項目がない。この教育委員が何を連想して質問したのかは、具体的事例を挙げての質問ではなかったのでわからずじまいだった。都教委作成の「調査研究資料」って、ずいぶん偏っていると思われませんか。
    
・TEP-CUP(東京都高等学校英語プレゼンテーションコンテスト)2026実施について
 ――最優先すべき課題ではない――

 これがいつから始まったのかを調べたら、2023年(表彰は2024年3月)のよう。都内在学・在住の高校生(国公立、私立を含む)1~5人が1ユニットとなり、9月に英語プレゼンテーション動画を作成し、応募する。この予選を通過したユニットが舞台で英語プレゼンテーション及び質疑応答を実施し、3月に表彰されるというもの。2026のテーマは、「私たちがつくる未来の東京」。審査委員は、吉田研作上智大学名誉教授ほか5名。プレゼンテーション能力を「アイデア、論理性、表現上の工夫」等から評価し表彰に至る。2026の応募は56校95ユニット、本選通過・表彰は8校8ユニット。1位の都知事賞は広尾学園高校(私立)1年生4人のユニット、2位の都教育長賞は都立竹早高校2年生1人のユニット。

 「プレゼンテーション力が全体として確実に向上した」(審査委員長)とか、「とても良い学びを得ることができた」(生徒)などのコメントが掲載されているが、冒頭で述べたように、東京の子どもたちを救う手立てにはなりえない企画だ。子どもも教員も学校が楽しいと思える場にならないのはなぜか、都教委は論議すべきだ。