
<竪場勝司>
在留審査に係る手数料の大幅な引き上げなどを含んだ入管法改定案が3月16日、閣議決定された。過大な引き上げに反対する院内集会が4月1日、東京都千代田区の衆議院第一議員会館で開かれ、外国籍の当事者からの訴えなどがあった。
引き上げは現行の10倍から30倍にも
現行法では在留審査に係る手数料の上限は1万円だが、改定案は上限を在留資格の変更や在留期間の更新については10万円、永住許可については30万円まで引き上げる内容になっている。具体的な手数料額は政令に委任され、改正された法律や政令は2027年3月末までに施行するとされている。集会はNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)が主催し、外国人の支援活動などに取り組んでいる10団体が共催した。オンラインを含めて約220人が参加した。
差別や分断をもたらす「秩序ある共生」施策
集会ではまず移住連共同代表理事の鈴木江理子・国士舘大学教授(写真)が、政府が進める「秩序ある共生」施策の課題についてスピーチした。鈴木教授は今年1月に出された「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」について、「一部外国人の問題点を強調し、その問題点に対応することが一番のものとして示されている。在留審査の厳格化、永住資格・帰化の審査の厳格化、手数料の法外な値上げなどが掲げられている」と指摘。
さらに「ニューカマー外国人が増加して30年以上もの間、環境整備を怠ってきた責任は政府にある。さまざまな社会問題を一部外国人に押し付けるのは無責任だ。外国人に対する規制・管理を強化しても、国民の安全・安心は実現せず、かえって差別や分断をもたらしてしまう。デマやヘイトスピーチに毅然として対応し、『共に生きる』社会に向けたメッセージを国が出すべきだ」と訴えた。
続いて移住連理事で弁護士の鈴木雅子さんが今回の改定案の問題点をテーマに話した。鈴木弁護士は改定案の概要に触れたうえで、問題点として「手数料の引き上げが過大・急激すぎる」と指摘。手数料はこれまで1万円以内となっていて、長い間変わっておらず、昨年4月に通常の変更・更新が4千円から6千円、永住許可が8千円から1万円に改定されたばかりだったことを説明し、「これだけ生活に必須のものを1年で何十倍にしますということは、日本人であれば絶対にあり得ない」と語気を強めた。
問題点の二つ目としては「引き上げの理由が不明確なこと」を挙げた。政府は「秩序ある共生社会の実現に向けた各種施策の強化・拡充のため、受益者負担の観点から外国人に相応の負担を求める」と理由を説明しているが、鈴木弁護士は「これは日本人と外国人を区別し、すべての外国人だけを受益者にするという、非常に雑な議論と言わざるを得ない」と批判した。
5人の子を育てるラオス人の女性「私たちには絶対無理」と訴え
外国籍の当事者も登壇して、窮状をアピールした。このうち日本に25年間暮らし、5人の子どもを育てているラオス人の女性は、女性と上の3人の子どもは永住ビザを持っているが、下の2人はこれから永住を申請する予定で、制度が改定されれば、申請に最大で60万円の費用がかかる可能性がある。女性は現在シングルマザーで、上の2人の子が働いて家計を助けてくれているが、ギリギリの生活だといい、「(改定に対応するのは)私たちには絶対無理です。私たちのような家族や子どもたちがいることを分かってほしい」と訴えた。

