さすがにヤマト運輸は大企業だ。本社ビルは、東京・銀座の一等地にデンと構えていた。3月16日午前11時半、そこに集まってきたのは「非正規春闘実行委員会」のメンバーたち約50人だった。

 この日は「非正規春闘・統一ストライキ行動日」だった。仙台けやきユニオンは、ヤマトの仕分け倉庫で働く非正規労働者を組織している。25%の賃上げを求めてきたが、会社の回答は「ゼロ回答」であったため、ストライキを実施することになった。この日はその通告書を手渡すために9人が上京した。

 本社前の集会で、ヤマトで働くバングラデシュ出身の留学生(写真左)は、「生活費や学費を賄うために深夜の低賃金労働に従事している。ガス電気家賃が上がり、本当に生活が大変。賃上げをしてほしい」と切実に訴えた。スキマバイトの女性(写真右)も留学生に合流して一緒にたたかっている。彼女は「倉庫の仕事は重い荷物を仕分けするが、山のようにある。ベルトコンベアのスピードに追われてとてもきつい。社員からは荷物を『三秒に一個だ』と急かされる。これで最低賃金ではやってられない」と過酷な現場の実態を語った。また非正規の友人は美容院に行く金がなく髪をハサミで自分で切っていることや、一人暮らしができず実家に帰った話など深刻な実態が広がっていることを紹介した。

 25%賃上げと聞くと「大幅」にみえるが、宮城の最低賃金は1038円であり、その25%増しは時給1300円である。生活維持に必要な最低限の賃上げである。当該組合員は、ヤマトの担当者にストライキ通告書を手渡し「賃上げについて答えてくれ」と迫ったが、担当者は「私は文書を受けとるだけで話はできない」と逃げまくるだけだった(写真左)。

 物価高は非正規労働者を直撃している。「まじめに働いても食べて生きていけない。そんな社会でいいのだろうか」と非正規ユニオンメンバーは口々に訴えた。首都圏青年ユニオンの実行委員メンバーは、「ヤマトはよく聞け! 日本を代表する大企業こそ率先して賃上げをするべきだ!それが日本をよくする道だ」と強調した。

 この日は、ほかに「回転寿司ユニオン」、「出版情報関連ユニオン・最賃労働者による行動」があり、午後には厚労省で記者会見も行われた。非正規春闘実行委員会では「3月末までに10社以上で非正規労働者の賃上げを求めてストライキを実施する」とのことである。(M)