<愛知連帯ユニオン>

 名古屋市熱田区の労働会館本館で、2月7日 13:30から「関生弾圧を許さない東海の会」主催の『関生弾圧の現在地と私たちの課題』と題する集会が開催されました。関生弾圧が始まってから9年目、21件の無罪判決(12件確定)が出され、マスメディアの報道も増えましたが、現場では厳しい攻防が続いています。
 集会は植木事務局次長の司会ではじまり、柿山事務局長から「集会を設定した時は選挙の前日になるとは思わなかったが、今日はよく集会に参加して頂いた。『東海の会』結成から7年、多くの会員の皆さんが継続してくれている。NHKが『クローズアップ現代』で取り上げるまでになった。今日は弾圧との闘いの到達点を議論して頂きたい」と開会の挨拶がありました。
 続いて、湯川裕司関生支部委員長、西山直洋同執行委員、共同代表の中谷雄二弁護士と熊沢誠甲南大学名誉教授によるパネルディスカッションが行われました。

進む先に、もう一度弾圧があっても構わない

 湯川委員長は、「私は東海の集会には結構来ています。昨年11月の判決で私の実刑は取り消され、懲役3年執行猶予5年となり、こうして話を出来ている1分1秒の喜びも感じているが、そもそも私たちは何も犯罪になることはやっていない。弾圧により多くの仲間を失ったが、弾圧の効果はそれだけではなく、残った者にも『怖いな、もう1回は嫌だな』と思わせる。裏切った者は過去のことなど直ぐ忘れるが、残った者の中にはいつまでもかつての仲間のことを考えている人もいる。弾圧前の労組の6団体共闘を裏切った側に2億7千万円が支払われたという資料が出てきている。支払いを行った使用者団体も問題だ。弾圧以前は楽しい時を共有したが、今は苦を共にし、絶望に負けない力が作られた。このままなくなるくらいなら、進む先に弾圧があっても構わない。弾圧ができない仕組みを、国際連帯を強化すること等で作り上げていきたい。」と関生支部の現在地と決意を語りました。

関生国賠訴訟と日東電工宣伝禁止裁判

 西山執行委員は国賠訴訟について解説、湯川委員長の644日の恣意的拘禁(保釈を許さない意図的なもの)、組合専従の武谷副委員長の組合事務所への出入りを禁じる等の無茶苦茶な保釈条件、西山さん自身にXバンドレーダー訴訟の証人尋問をさせないという裁判を行う権利の妨害、検察官による組合員への脱退勧奨等の責任を追及し、検察官と警察官の証人尋問を実現、それら証人が労働法など全く知らないことを自白したが、一審判決は労働法学者等の証言も無視し、全面棄却だった、反論の材料はいくらでもあるので粛々と控訴での準備を進めているとのことでした。
 さらに西山さんは日東電工宣伝禁止裁判について解説、日東電工の韓国子会社のオプティカルハイテックの労働者を組合員として組合を組織し、日東電工に団交を申し込み、日東電工がこれを拒否したことに対して大阪府労委で不当労働行為救済申立の手続きをしている最中、日東電工(本社大阪)が、おおさかユニオンネットワーク代表西山さんとオプティカルハイテック労組委員長、市民活動家3 氏に対して、全国各地での日東電工街宣行動の差止を求める申立てで上記5名が関わっていない全国の仲間たちの行動も上記5名が責任を間われている裁判であり、組合弾圧と市民運動弾圧にお墨付きを与え架けない重要な裁判となっているとのことでした。

この国の現状と関西生コン事件

 この間、勢力的にスパイ防止法に反対する取り組みで講演を続け、2月4日には名古屋高裁の更新弁論で安保法制の違憲性を陳述した中谷弁護士は、戦後国際法秩序の破壊が進む世界の中で、高市政権は宗主国アメリカにおもねり、富裕層と軍需産業などの取り巻きの利益のみを考えた国家改造に乗り出している政権であると断罪しました。関西生コン弾圧は個別企業の利益に左右されない産業別労働組合が憲法と労働法で認められる実力による労働組合活動を実行し、労働者の利益(雇用の確保と労働条件向上)を実現したことへの弾圧だと指摘しました。
 労働法-労働者の権利擁護という労働法の基本を忘れ、資本の利益との調整による穏当な共存を図る法理論の構築とその蔓延が法律家共同体の意識の変容させ、裁判所自体の労働法に対する無理解が進んでいるとし、また、関生国賠訴訟の敗訴判決は憲法と労働法に対する法律家共同体=裁判官、検察、弁護士の認識のあるべき立場からの乖離が広がっていることの現れであり、国賠訴訟における行政法学者の有力説である公権力要件欠如説ではなく、職務行為基準説が法律実務で採用されている問題があると解説しました。
 司法の改革には内部からの改革の道と外部からの改革(政治的な力)=市民の批判、それを引き出すためのきっかけ=具体的な勝利が重要と提起しました。

一般組合、コミュニティユニオンの活動にも致命的な打撃を与える

 熊沢教授は、当初の関生労組を「反社会集団」と見立てた大弾圧と闘い、多くの無罪判決と一部勇敢なメディアの報道も出るようになったが、権力は関生労組の弱体化に成功したとして、①不当労働行為を容認し、②労働組合の経営への介入の許容範囲を限定し、③「正当なストライキ」を企業の営業にダメージを与える「威力業務妨害」として認めない立場(新自由主義の哲学)に踏み出そうしているのではないかと指摘、この「労働組合の介入の許容範囲の限定」は、組合員=正社員でピケなど考えない企業別組合を念頭においたものだが、ピケが必要な関生支部や全港湾など産業別組合ばかりではなく、一般組合、ひいてはコミュニティユニオンの活動に致命的な打撃を与えるものになるでは、と警鐘をならしました。そして、裁判支援に留まらない大衆的な行動を起こすべきではないか、と問題提起しました。
 ディスカッションでは、特に熊沢教授の指摘したコンプライアンス活動によるアウト企業対策が労組法の正当行為に当たることを主張すべきという点について積極的な議論となりました。
 最後に石田共同代表が「潮目が変わったことは間違いないが、産別労働運動を労働運動として認めないという点を乗り越えなければならない。選挙結果がどうなっても絶望することなく運動を続けなければならないと思った」とまとめました。
 突然の衆議院解散で投票前日の集会となってしまいましたが、支援の皆さんの尽力で集会を成功裏に終えることができました。