防衛省がイスラエル製のドローンを入札するという2月17日まで、防衛省正門前でハンガーストライキをしている若者がいる。三週間、水と塩と砂糖のみ。今日は10日目。テントもなくシュラフ(寝袋)のみ。この寒空の下、生命の危険を感じる。大丈夫だろうかと防衛省前に駆けつけた。
ハンストを決行したのは、昨秋レイバーネットTVに出てくれた防衛大学校出身の平山貴盛さん(30)。防衛大学校は日本で唯一、軍事と安全保障の高等教育が受けられる。卒業生は幹部自衛官になる人が多いが、平山さんは市民社会の中に入って、防大で受けた教育を還元するのだと決めたのだと話していた。
防衛省なんて霞が関あたりにあるんだろうと思っていたら、市ヶ谷だった。近くに大学もあるし、普通の市民が歩道を歩いている。そんな街中に軍事の中軸を担う建物はあり、物々しい警備が敷かれていた。ハンスト決行中の横断幕があるのですぐわかったが、そこにいたのは同じくレイバーネットТVに出てくれた滝あさこさんだった。「平山さん、近くのお風呂に行ってるんですよ」。体を温めるのはいいことだよねと言いながら、道行く人や防衛省職員にチラシを渡した。
ほどなく平山さんがやってきた。テレビの時より、少し顔がほっそりしていたみたいねというと「さすがにそうならなきゃおかしいでしょ」と笑う。今日は小春日和だからいいけれど、三週間も水と塩と砂糖(黒糖)だけなんて無謀だという声もあるようだ。でも、やれるところまでやる。準備は万全。1月26日からのハンストに備えて徐々に食事量を減らし、最後はお粥を食べてから臨んだという。低体温症になるのが怖いので、近くの銭湯で入浴し、手足を温めている。テントを張るなと言われているからシートの上に寝袋。いい寝袋を使っているから暑いくらいだと平山さんは言う。でもその寝袋さえ、警察は最初ダメだと言ったらしい。野宿者にもそんなことは言えないだろうに。

16時、防衛省正門前からゾロゾロ職員が出てくる。老若男女、チラシを配ると結構受け取ってくれる。話になったのは海外の人。ソマリア、アメリカ、フランス人。フランスでは当たり前の個人行動が、日本では珍しいと話が弾む。
十日間、嬉しかったことはありますかと聞いた。防衛大卒業生がこっそり近づいてきて「応援している。風邪ひくな」と言ってくれたりするそうだ。「ここで声をかけるだけでもリスクがあるのに・・・感謝してます」と平山さん。
日本は武器を輸出しているが、今回のハンストはイスラエル製の武器を日本企業が買うことに対する抗議だ。先制攻撃する国になるために。つまり、遅れを取り戻すために、優れた武器を買う。高市自民党が勝てば改憲し、自分から殺せる国になる。ガザで起きている殺戮に目を覆うくせに、同じことを日本がやれるようになるのだ。
それが安全保障なのか。平山さんは、選挙の先を見据えている。(堀切さとみ)

