NEW!2025-12-27 03:00:00テーマ:ブログ

 高市早苗首相は「台湾有事・存立危機事態」発言(11月7日)の撤回を拒み続けていますが、見逃してならないのは、そもそも「台湾有事」を喧伝して中国との対立を煽ってきたのはアメリカ政府(民主・共和両方)だということです。

 アメリカは中国との国交正常化(1979年)直後に「台湾関係法」を制定し、台湾への軍事支援や武器の供与を約束しました。

 その「台湾関係法」に基づく巨額の武器供与(売却)がいま計画されています。

米、台湾に武器1・7兆円 中国にらみ 最大規模売却へ

 トランプ政権は17日、台湾に対し、長射程ミサイル「エイタクムス」や高機動ロケット砲システム「ハイマース」(写真)など多数の武器の売却を承認し、議会に通知したと発表した。台湾総督府によると、総額111億㌦(約1兆7千億円)で、ロイター通信は1度の売却規模としては過去最大と報じた。>(19日付京都新聞=ワシントン発共同電)

 戦争によって、あるいはその「危機」を煽って、巨額の兵器を売ってボロ儲けする。

 それはアメリカの兵器産業だけではありません。

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所の報告書(1日発表)によると、世界の軍需企業上位100社の2024年の販売額は、前年比5・9%増の6790億㌦(約106兆円)で過去最高でした。

 1位はアメリカのロッキード・マーチン社で、トップ5のうち4社が米企業。販売額全体の49%を米企業が占めています。

 

 ボロ儲けしているのはアメリカの企業だけではありません。日本の軍需企業の総販売額(24年)は133億㌦(約2兆円)。前年比40%増でこれは「主要国で最大の伸び」(2日付日本経済新聞)です。

 独占企業が儲けているのは「戦争」だけではありません。アメリカが全面支援しているイスラエルのガザ・パレスチナに対するジェノサイドの裏にも独占企業の存在があります。

「ガザのジェノサイドでは…第二次世界大戦の時にはなかったテクノロジー、AIやアルゴリズムを抱えたテック企業がイスラエルの攻撃ために、データを提供している。…そういった意味では現代のジェノサイドと企業のかかわりは相当なものがあります」(根岸陽太氏・西南学院大「ガザ・ジェノサイドに日本から応答する」、「世界」26年1月号所収)

 日本の「イスラエル化」にも企業が介在しています。

「ナショナリズムや排外主義の高まりについて、日本社会の「イスラエル化」という観点から注目してきた。…とりわけ第二次安倍政権成立以降…イスラエルと日本の協力関係が急速に進んでいることを懸念している。…日本社会のイスラエル化は、(日本の)海外派兵の常態化のなかでこそ起こっている。…安倍政権下でイスラエルと急接近していることは、けっして偶然ではあるまい」「軍と民間の境界線が存在しないイスラエル社会のあり方が、いかにビジネスにとって「強み」であるかがわかる。…イスラエル発の技術とは、軍事にどっぷり浸かった環境のなかで生まれたものなのだ」(田浪亜央江氏・成蹊大中東地域研究「イスラエル化する日本社会」、『中東と日本の針路』大月書店2016年所収)

 こうした軍需・独占企業と「戦争・ジェノサイド」の関係は、メディア(企業の1つ)ではほとんど報じられません。しかし、資本主義社会において政治と独占企業の癒着は自明のことです。

 「戦争・ジェノサイド」でボロ儲けする軍需・独占企業にメスを入れない限り戦争・紛争のない社会は実現できません。