竪場勝司

 高市政権が、完成品の武器輸出を抑制的な用途に限定してきた「5類型」(救難、輸送、警戒、監視、掃海)を撤廃する動きを見せていることに対し、撤廃に反対する市民団体は12月25日、自民党と日本維新の会に対して申し入れを行ない、撤廃を断念することなどを求める要請書を両党の関係者に手渡した。

来年4月にも「5類型」撤廃をもくろむ自民・維新

 武器輸出を非戦闘目的のものに限定する5類型は、2014年に防衛装備移転三原則と運用指針を定めた際、公明党の主張を反映した形で歯止めのルールとして指針に盛り込まれた。公明党が連立から離脱し、自民・維新の連立合意書には「26年通常国会で運用指針の5類型を撤廃」が明記された。12月15日には自民・維新の両党が撤廃に向けた協議を開始。26年2月には政府への提言をまとめ、4月の国家安全保障会議の9大臣会合で運用指針を改定したい考えを示している。

 こうした動きを受け、「5類型の撤廃は武器輸出の全面解禁であり、『死の商人国家』への堕落を完成させるものだ」として、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)、日本消費者連盟、日本平和委員会など12団体が呼びかけ、25日の「自民・維新申し入れアクション」が展開された。

国会や主権者を無視した形で、武器輸出禁止の原則を葬り去るのは許されない

 東京都千代田区の自民党本部近くで始まったアクションには、約60人が参加。まずNAJAT代表の杉浦浩司さんがこの間の経緯を説明し、「国会を完全に無視し、私たち主権者も無視した形で、『国是』とまで言われた武器輸出禁止の重要な原則を葬り去るということは、決して認められない」と訴えた。*写真=自民党職員に対し、要請書を読み上げる杉原浩司さん(左)

 続いてコールに移り、「5類型撤廃するな」、「武器輸出やめろ」、「オーストラリアに軍艦出すな」、「殺傷武器の輸出をやめろ」、「死の商人に堕落するな」、「自民と維新で勝手に決めるな」、「主権者無視して勝手に決めるな」、「アメリカの武器輸出、やめさせろ」、「イスラエルのドローン、買うな」などと参加者たちが声を合わせた。呼びかけ団体の人たちも次々にマイクを握り、高市政権や自民、維新、軍需企業の姿勢を厳しく批判するスピーチをした。

 この後、自民党本部前の路上で、対応に出てきた自民党職員に杉原さんがアクションの趣旨を説明。高市総裁宛ての「『5類型』の撤廃を断念し、武器輸出を中止するよう求めます」とタイトルの付いた要請書を読み上げ、職員に手渡した。要請書は①5類型の撤廃に向けたあらゆる作業を中止すること②「共同開発・生産」した武器についても、5類型を適用すること③武器輸出禁止原則の復活・強化に向けて国会内外での熟議を保障すること、の3点を求めている。

 維新の関係者に対しても、衆議院第一議員会館で、市民団体の参加者たちから、同趣旨の要請書が手渡された。