<情報提供 : 浅井健治@週刊MDS編集部>
3月28日、全米で800万人が立ち上がった「No Kings」デモ。DSA(アメリカ民主主義
的社会主義者)系誌『ジャコバン』(3月30日付)に《「王はいらない」デモは希望の
源》という記事が掲載されています。以下、機械訳に少し手を加えました。
原文は:https://jacobin.com/2026/03/no-kings-protest-trump-authoritarianism

「王はいらない」デモは希望の源 ベン・バーギス

Photo by Erik McGregor/LightRocket via Getty Images

「王はいらない」集会は、単なる反トランプ・リベラリズムの域を超えて発展を遂げた。
そのメッセージは明確な反戦・反寡頭政治であり、ドナルド・トランプ1期目の「抵
抗」政治よりもはるかに実質的な内容を持つ。左派はこの集会に参加できることを誇り
に思うべきだ

トランプ大統領の2期目が始まって14か月余りが経った。政権はその間、立憲民主主義
への攻撃において、いくつもの明確な一線を越えてきた。大統領令によって、憲法が保
障する出生地主義に基づく市民権を廃止しようと試みた。抗議デモに参加したり論説記
事を書いたりしたというだけで、合法的な居住者を逮捕した。非協力的な地方政治家を
罰するために連邦捜査官をアメリカの諸都市に大量に投入し、威嚇行為を行った。これ
ら捜査官は抗議デモ参加者を冷酷に殺害し、政権の強硬姿勢は倍加した。

そして今、政権はイランできわめて不人気な戦争を繰り広げている。その戦争はドナル
ド・トランプが、イランは深刻な脅威であって無力化しなければならないという考えを
アメリカ国民に納得させようとする通常の手順すら踏まずに開始した戦争だ。

これらすべてを的確に要約すると、トランプは選挙された立憲共和制の指導者としてで
はなく、ただ言うことを聞いて従いさえすればよい王様のように統治する方向へと大き
く舵を切ったと言えるだろう。そして3月28日の「王はいらない」集会は、こうした状
況が引き起こした米国民の高まる反感を如実に表していた。

主催者側の推計によると、全米各地3000か所以上で開催された集会に800万人のアメリ
カ人が参加した。私が参加したロサンゼルスの集会では、笛や太鼓の音が響き、幼い子
どもや犬も一緒の家族連れ、高齢者、予算削減に憤慨する公務員労組の組合員らの姿が
あり、少なくとも2人の抗議者が特大の張り子製のトランプの衣装を着て歩き回ってい
た。

特筆すべきは、多くのプラカードやスローガンの政治的内容が、トランプ政権1期目の
「抵抗リベラリズム」に共通するものや「王はいらない」のスローガンに代表される一
般的な反権威主義とは大きく異なり、はるかに左派的なものだったことだ。最もよく見
られた大量印刷されたプラカードの一つは、このスローガンとイラン戦争への怒り(「
軍閥はいらない」)を融合させていたし、パレスチナへの言及は至る所で見られた。

諸課題を結びつける

ミネソタ州セントポール、アレックス・プレッティとレネー・グッドが移民税関捜査局
(ICE)と国境警備隊の職員によって殺害された場所からほど近くで行われた「旗艦集
会」(注)で、バーニー・サンダース上院議員がスピーチし、同様のテーマを数多く強調
した。彼はこの機会を利用し、トランプの権威主義はより根深い経済的寡頭制の問題と
切り離せないものであると主張した。
(注)「旗艦集会」は、大規模な全国的または国際的な抗議運動における主要な、注目
度の高いイベント。


・・・・
これは単に一人の人間の貪欲さや一人の人間の腐敗、一人の人間の憲法に対する軽蔑と
いった問題ではありません。これは、地球上で最も裕福なごく少数の人々が飽くなき貪
欲さゆえに、わが国の経済と政治体制、メディアを支配し、勤労者世帯を犠牲にして私
腹を肥やしてきたという問題なのです。
アメリカの歴史上、これほど少数の人々がこれほど莫大な富と権力を握ったことはかつ
てありませんでした。

・・・・

サンダース議員はまた、点と点を結んで「トランプ政権の制御不能な軍国主義-国内の
ミネアポリスやセントポールといった都市だけでなく、海外においても-」の全体像を
明らかにした。彼はイラン戦争を、トランプ大統領は議会の同意を得ていないため憲法
違反であると同時に、「主権国家が、いかなる理由であれ、他の主権国家を攻撃するこ
とは許されない」ため道徳的に許しがたい行為であると非難した。

サンダースは一連の悲惨な数字を次々と挙げた。これまでに死亡した13人および負傷し
た数百人のアメリカ兵。無差別爆撃で殺害された数千人のイラン市民。レバノンで殺害
された1000人と住む家を奪われた100万人。この機に乗じ、ヨルダン川西岸でパレスチ
ナ人に対して暴虐行為を働いているイスラエル人入植者たち-彼らはすでに「ガザでジ
ェノサイドを犯した」政府の黙認のもとで暴れ回っていることをサンダースは聴衆に対
し、改めて指摘した。

反権威主義、経済的平等主義、戦争への断固たる反対というこの組み合わせは、サンダ
ースのような民主主義的社会主義の政治家にとっては驚くべきことではない。より興味
深いのは、彼がそもそも「旗艦集会」に招かれてスピーチしたこと、そして全米各地で
開催された同様の集会に参加した何百万人ものアメリカ人がこれまで以上に彼のメッセ
ージを受け入れている兆候が見られることだ。

これは私たちの闘いだ

左派の中には、「王はいらない」集会を軽視する人もいるかもしれない。最も信用でき
る主張は、抗議することは組織することではないし、単なる抗議活動は何の効果ももた
らさないというものだ。

確かに、街頭デモだけでは政府の政策を変えたり、戦争を止めたり、独裁者を失脚させ
たりする力はない。しかし、あらゆる政治行動に必要なエネルギーと勢いを生み出す第
一歩として、街頭デモの価値を過小評価するのは重大な間違いだろう。

抗議デモに参加している多くの人びとは、指導的立場にある人びとも含めて、必要な行
動は有権者登録をし、民主党が指名する候補者に投票するために律儀に投票所に行くこ
と、それで終わりだと考えているのかもしれない。しかし、これは誤りだ。トランプ主
義的権威主義の根源は、きわめて不平等な社会のより深い病理にあり、選挙でその社会
の最悪の現れを打ち負かすだけではせいぜい問題の解決を先延ばしにするにすぎない
(ジョー・バイデンの当選がそうであったように)。

右派勢力の復活に対するより効果的な対応策は、説得力のある政治的ビジョンを提示で
きていない民主党の中道派指導部を追放し、代わりに力強く平等主義的な政治綱プログ
ラムを提示することを必ず含んでいなければならない。

寡頭政治、権威主義、軍国主義という三頭の悪魔に対する効果的な解決策は、選挙の領
域だけで完結するものではない。私たちが必要とする運動は、組織化された労働者階級
に根ざしていなければならない。しかし、もし私たちがこうした主張を『ジャコバン』
のような出版物の紙面でだけ展開するならば、説得すべき人びとには届かないだろう。
私たちは、今この瞬間に権威主義と闘う意欲に満ちた何百万人もの人びとにこれらの主
張を訴えかけ、彼らを傍観者としてではなく闘いの共同参加者として巻き込む必要があ
るのだ。

トランプの権威主義との闘いは単にリベラル派と保守派の対立にすぎないから自分たち
の闘いではないと考える社会主義左派は、根本的な点を全く理解していない。資本主義
的自由民主主義には重大な欠陥があり、その約束が果たされることはないだろう。しか
し、労働者の運動がつねに理解してきたように、それはより良いものを求める闘いの格
好の出発点なのだ。

政治から経済へと民主主義が拡大された社会形態に到達しようとするなら、私たちがす
でに持っている民主主義のレベルを守るために必死に闘わなければならない。なぜなら、
まさにそのレベルこそが、私たちが扇動し、組織化し、行動を起こす余地を与えてく
れるからだ。

権威主義に対する大規模な抗議デモは、本当に良いことだ

アレックス・プレッティが連邦捜査官に射殺されてから2か月余り経った。捜査官に襲
われた時、地面から立ち上がるのを手伝っていた女性に彼が最後に言った言葉は「大丈
夫?」だった。レネー・グッドは、飼っていた犬を乗せたSUVで捜査官から逃げようと
していたところを撃たれた。助手席のグローブボックスには子どものおもちゃが詰め込
まれており、ICE捜査官が車を取り囲み矛盾した指示を出している様子を同性パートナ
ーが撮影していた。彼女が殺人者に最後に言った言葉は「大丈夫よ、あんた。怒ってな
いわ」だった。

両者とも、合法的な権利である監視と抗議活動を行っていた際に捜査官に遭遇したアメ
リカ市民だった。両者ともトランプ政権によって「国内テロリスト」のレッテルを貼ら
れた。こうした犯罪が発生した直後に、自由民主主義の基本規範を守ろうと何百万もの
人びとが抗議のために街頭に繰り出さなかったとしたら、それは私たちの社会について
何を物語るだろうか?

[英国出身の作家・ジャーナリスト]故クリストファー・ヒッチェンズはかつて『ザ・
ネイション』誌のコラムに、「予測可能」や「[脚気診断の膝反射のような]反射的行
動」といった言葉を侮辱として使うのは間違いだと書いた。「私個人の意見として、も
し膝が特定の刺激に反応しなくなったら、私は警戒するだろう。それは神経が衰えた兆
候だからだ」と彼は書いている。