*Amazonと関西生コンの労働者の実情を伝えた土屋トカチさん

 5月25日、東京・国立市で第三回「三多摩レイバー映画祭2025」が行われ、労働をテーマにした七作品を上映しました。
 会場は映像居酒屋キノキュッヘ。40人も入れば一杯の店内に50人を超える参加者が集まり、ものすごい熱気に包まれました。

 パワハラによる精神疾患や自死者の増加、分断と格差の拡大・・・それらを観る者に突き付けながらも、体制側に飲み込まれるのでなく非人道や差別に抗い、連携して闘う人たちがスクリーンに映し出されていきます。『Amazon配達員~送料無料の裏で』『バスドライバーにあこがれて』『令和の百姓一揆』『ここから~関西生コン事件と私たち』に加え、急遽、『組合づくり~リストラへの回答』(ビデオプレス・1999年)を上映しました。下町の運送会社のドライバーたちが労組を立ち上げ、会社と対等にやりあう姿に、「これが組合というものか」と新鮮に感じた人も多かったのではないでしょうか。

*パワハラや不当解雇と闘うために新しい組合をつくった西武バスの運転士・矢口正さん

 『大根の千切りを教える』『女たちのメーデー前夜祭コント集』など、思わず笑ってしまう作品も。13時から始まった上映&トークの時間はあっという間に過ぎ、18時半からは居酒屋らしいプレート料理付きの懇親会となりました。


*居酒屋経営の苦労を描いたショートムービー『大根の千切りを教える』を作ったマスター佐々木健正さん

 以下、参加した人たちの感想です。
 「どの作品も、今の社会問題をスコップで掘り起こすように感じた。今は凍てつく大地だけど、ザクッとスコップを入れて耕せば、やがて緑が息吹くと思った」「自分は右翼と言っていたヤンキー兄さんが労働組合の委員長になっていく様子は感動ものだった」「ここに描かれているような労働者の生の声がホントに好きなんだよなあ」「組合、教育、民主主義、司法が破壊され続けた日本だが、こんなにたくさんの人が集まって感激した」

 今回は偶然にも「ドライバー」が主人公の映画が多かったですが、次は介護現場の映画をやってほしいという声もありました。
 テレビは瞬間ですが、映画は記録として残ります。労働者の流す汗と涙と勇気と連帯を、来年もまた!(上映会スタッフ)