5月27日昼すぎ、市民総監視の国家情報局法案が参院本会議で可決成立した。賛成187、反対58だった。昨日に続いて、議員会館前にはたくさんの市民(220人)が集まり「国家情報局」反対の声をあげた。

 リレートークで話したのは、自称「ただの市民」という女性。手にしたプラカードには「密室政治で決めて 監視が私たちを縛る。そんな国 全く望んでいない。民主主義がかかっている!」と書いてあった。彼女は思いをストレートに語った。「祖父母は戦争体験者で曾祖母は結核でなくなった。戦争は絶対いやだ。そんな社会に生きていたくない。父は透析患者で、ナフサ不足でとても不安だ。いま国家情報局や国旗損壊罪が必要か。悲願の消費税減税はどうなった。路上の私たちの声を聞くのが民主主義ではないのか。恥を知れ!」と訴えると、大きな拍手が起きた。とくに「悲願の消費税はどうなった」のフレーズに、そうだそうだの声が飛んだ。(リレートーク動画は下段から)

 本会議成立が伝えられると司会の杉原浩司さんがマイクを握った。「成立強行、絶対反対! 参考人や抗議の声を一ミリも反映せず、数の力で押し切った。これでいいのか。法の運用を縛って廃止にするしかない」と呼びかけた。議員会館前には弁護士の萩尾健太さんが参加していた。萩尾さんは、この日「マルチンニー・メラーの言葉/スパイ防止法編」をつくり「スパイ防止法」の怖さを訴えている。以下、紹介したい。(M)

●私が考えた「マルチン・ニーメラーの言葉/スパイ防止法編」(萩尾健太)
萩尾健太さん(議員会館前)

 最初に外国人労働者や外国人の経営する商店が監視され排除された。私は日本人だったので、気に留めなかった。
 次に、平和運動や市民運動をする人が監視された。わたしは「こんな人たち」は外国とつながっているので、当然だと思った。
 次に、軍需産業や外国と取引する企業やその労働者、公務員が監視され調査された。私はそういう企業の労働者や公務員の思想調査は、安全保障上仕方ないと思った。
 マスコミやインフルエンサーが監視され調査された。政府の足を引っ張るような発信をする人たちだから、自業自得だと思った。
 外国との交流団体や外国語を学ぶ学校、ブラジリアン柔術や太極拳クラブが摘発された。私は、あの人たちもスパイだったのか、と驚いた。
 野党の政治家や組織が監視されて摘発された。野党は右も左も反対ばかりしていて、やっぱりスパイだったのか、と思った。
 ついに、私が監視されて公職選挙法違反で摘発された。私は自民党の国会議員だった。
 選挙のときに、私の支援者と一緒に食事をしたところ、その人が、いまお金がない、というので、現金を立て替えてあげたがすっかり忘れていた。警視庁に呼び出されて行ったら、その支援者は公安警察官だった。私は嵌められた、と思った。
 秘書がお金を取り立てるのを忘れていたのがいけないんです、と説明して事なきを得た。私は日頃、首相のやり方を諫めていたので、目を付けられたのだろう。
 これは、党の掲げる自由と民主主義に反する、と首相に伝えようと官邸に行ってみたら、首相の脇には、国家情報局長と称する、私を取り調べた公安警察の幹部が座っていた。
 もう遅かった。私はすっかりビビってしまい、何も言えなかった。

<マルチン・ニーメラーの言葉>(1892―1984)
 ニーメラー牧師は何千人もの人々の前に、彼自身のことを(あまりにも謙虚に)こう語った。ナチスが共産主義者を攻撃した。彼はやや不安になったが、彼は共産主義者ではなかったので、何もしなかった。そして彼らは社会主義者を攻撃した。彼は不安だったが、社会主義者ではなかったので何もしなかった。それから学校が、新聞が、ユダヤ人が、となり、彼はそのたびに不安になったが、やはり何もしなかった。そして彼らは教会を攻撃した。彼は教会の人間であった。だから彼は何かを行なった。しかし、それは遅過ぎた。