NPO法人が困窮子育て家庭の調査結果を発表

竪場勝司

 部活動を学校から地域の民間クラブなどに移行する「地域展開」が、困窮家庭の保護者たちの8割にとって「負担増」になっている――こんな実態が、子どもの貧困問題に取り組むNPO法人「キッズドア」(渡辺由美子理事長/写真中央)が5月15日、東京都内で記者会見し、明らかになった。

 急速な少子化が進む中、子どもたちがスポーツや文化芸術活動に親しむ機会を確保しようと、国や自治体では部活動を地域に開き、地域全体で支えていく「地域展開」を進めている。キッズドアでは、「地域展開」を含めた中学生の部活動の実態を把握し、困窮子育て家庭への影響を探るため、2025年10月から11月にかけ、支援に取り組んでいる家庭を対象にオンラインで調査した。

「保護者による送迎」や部活動費の増額が「困りごと」の上位に

 調査結果によると、部活動に取り組む中学生がいる524世帯のうち、「完全に地域移行(地域展開)している」と「部分的に地域移行している」を合わせた回答が19%だった。地域展開の受け止めに関する設問(複数回答)に対しては、「特によかったと感じることはない」が45%で最も多く、「指導内容が向上・充実した」(26%)、「他校の生徒との交流が増えた」(24%)が続いた。地域展開によって費用や送迎などの負担が増加したかについては「とてもそう思う」と「まあそう思う」の回答が合わせて80%を占めた。

 地域展開についての賛否を問う設問では、小学生がいる家庭も含めた1392世帯のうち、「賛成」が48%、「反対」が51%だった。地域展開に関する困りごとや心配(複数回答)については、「活動場所までの送迎が必要になる」が71%で最も多く、「部費が高くなる」67%、「活動場所までの交通費が高くなる」64%、「指定のユニフォームや道具などの購入が必要になる」61%、が続いた。また、「地域展開によって子どもたちの体験格差が拡大していくか」の設問に対しては、「そう思う」と回答した世帯が全体の89%を占めた。

 地域展開に関する具体的な意見としては「先生の負担が大きいと感じているので、地域移行には賛成です」、「やりたい部活が近隣中学にはないので、地域移行で近くでできるようになるなら望ましい」といった肯定的な意見の一方で、「親の送迎ありきで運営される部活動は負担が大きいし、我が家は車が持てないため、部活動は出来ない」、「親の送迎や親が積極的に関わらなければいけない状態は、やめてほしい。片親にはきつすぎる。小さい兄弟がいるので、なおさら負担になる」、「金銭的に余裕がある家庭と、そうでない家庭の差が大きくなってくるのではなか。金銭的な負担が重荷になる心配があります」といった否定的な意見も目立った。

部活動費用に関する公的支援制度の創設などを要望

 会見では、①困窮子育て家庭の部活動費用に対する恒常的な公的支援制度の創設 ②地域展開後の部活動費用高額化の防止 ③保護者の送迎や見守りを前提としない制度設計、運営体制の整備④部活動が果たしてきた「放課後の居場所」としての機能の保障、などを国や自治体に求める要望書も発表された。

 渡辺理事長は「年間の部費1万2000円。それが払えない家庭が少なくない。子どもの貧困率でいくと11.5%、9人に1人はそういう状況で暮らしている中で、子どもたちが部活動という非常に貴重な場から外されることのないように、していただきたい」と訴えた。