アリの一言

 

 16日、米軍新基地建設を強行している沖縄・辺野古沖で2隻の船が転覆し、京都から平和学習で訪れていた同志社国際高校の武石知華さん(17)と、転覆した「不屈」の船長・金井創さん(71)が死亡しました(写真左は引き揚げられた「不屈」)。

 事故の原因究明はこれからですが、多くの市民の反対を押し切って自民党政権が強行している新基地建設が遠因であることは間違いなく、あらためて怒りを禁じえません。

 金井さんは、「今、憲法を考える会」の季刊通信「ピスカートル(漁をする人)」に「沖縄 海風 浮世風(うちゆわた)ら」という連載を持ち、辺野古の現場から闘いのリポートを送り続けてきました。

 最新号(78号=3月5日号)は第34回で、タイトルは「総選挙での大敗をのりこえて」。見出しは「諦めずに闘う、不屈カフェも健在」(写真右)。書き出しはこうです。

<沖縄の冬は内地に比べて気温は高いものの、風が強く海は荒れる日が多いです。そのため海上抗議行動も出られない日が続きます。>

 船やカヌーによる抗議行動が危険と背中合わせであることを熟知していた金井さんの不安が、現実になってしまいました。

 「不屈」には毎回、3種類のフェアトレードのコーヒー3㍑と金井さんのお連れ合いが作ったケーキや蒸しパンを持ち込み、警備にあたっている海上保安官や工事作業員らにも振る舞い、立場を超えた交流がありました。「不屈カフェも健在」なのです。

 金井さんに伺った(読んだ)わけではありませんが、「不屈」という船名は、瀬長亀次郎さんの座右の銘からとったものではないでしょうか。

<彼らも政府に雇われて基地建設の作業に当たっていますが、これに抗議する私たちをひそかに、時にはあからさまに応援してくれるのです。工事をする政府に抗議する市民という単純な図式ではありません。立場を違っても現場ではこうした心の交流が生まれます。>

 そして金井さんは、今回の連載をこう締めくくっています。

<衆議院議員選挙の大敗には気落ちしましたが、それもわずかの間でした。全敗(沖縄選挙区―私)したからこそ、国会議員に頼るのではなく、私たち市民が今こそ奮起しなければならない、市民の運動で国を変えていこうとの思いをますます強くしています。市民の運動とはこうした一人一人との出会い、心のつながりを大事にしていくことだと思います。目の前にいる海保や作業員は敵ではない。この人たちとも一緒に平和を造っていきたい。非暴力で平和を造る働きはこうしたことの積み重ねにあるのだと信じて、これからも諦めずに続けていきます。>

 一言ひとことが胸にしみます。これが金井さんの“遺言”になってしまいました。
 金井さんの遺志を受け継ぎ、非暴力で平和を造る働きを、諦めずに続けていきたいと思います、不屈に。