2026年2月19日 キース・プラウア・ブラウン

【解説: アメリカの労働組合の組織率は2024年に初めて10%を切って9%となったが、2025年の統計数字が先月発表され、10%に回復したことが明らかになった。トランプ二次政権が連邦職員の大量解雇や団交権の否認・労働協約の破棄などの組合潰しに明け暮れたにもかかわらず、組合側が反転攻勢に成功して組織率を回復したことは注目に値する。しかし、楽観できる訳ではないことをレイバーノーツ3月号の記事は伝えている。レイバーネット国際部 山崎精一】

デトロイト市での2025年レイバーデーのマーチ

 2025年の労働組合統計が連邦政府により発表された。40年にわたり、この統計数字によって労働運動の健康状態が毎年判断されてきた。労働組合は拡大したか、縮小したか、そしてその地域はどこか? 今回発表された組織率は予想以上に良好な数字に見える。この一年、組合を潰そうとして全面戦争を仕掛けてきた連邦政府や大企業の攻撃を考えれば、である。 

 連邦政府は毎月15,000世帯に対し、家族に組合員がいるかどうかを調査している。この調査に基づき、2024年と比較すると、463,000人の労働者に新たに労働協約が適用されたと推定され、その約半数が公共部門、半数が民間部門に属している。2025年の組合員数は約1,470万人と推計され、労働人口の10%を占め、前年比でわずかに増加した。さらに180万人の非組合員が新たに労働協約の適用を受けている。経済政策研究所の分析によれば、組合員数の増加のほぼ半分は南部で生じている。

 しかしこうした統計数字は、より厳しい実態を覆い隠している。この新たな統計結果は、昨年3月にトランプ大統領が連邦政府職員組合に対して突然仕掛けた一斉攻撃が考慮していない。トランプは大統領令により、大半の連邦職員から団体交渉権を奪い、労働協約を破棄したのであり、その数は100万人に近く、退役軍人省の看護師から消費者金融保護局の職員にまで亘っている。

 連邦職員はこの攻撃に反撃し、記録的な割合で組合に加入しているが、ほとんどの連邦機関が労働協約を認めることを拒否している。もし労働協約を否認されているこの100万人の連邦職員が事実上組合を失ったとみなせば、2025年の労働組合統計は大きく異なるものとなるだろう。

 また報告書は年間を通じた雇用数を平均化している。これにより、年末の数ヶ月間に政権が公共プログラムを大幅削減したことで職を追われたり一時解雇されたりした連邦職員20万人分が過小評価されている(注1)。(労働統計局の2名の職員が調査手法に関する知見を提供してくれたことに、レイバーノーツは感謝する)

勝者と敗者

 2025年に一番労働協約適用人数が増えた民間部門は、建設業(84,000人増)と医療産業(78,00人増)である。

 建設業では雇用が10万人増加し、労働協約適用率は約11%から12%に上昇した。この労働協約適用率は10年前よりも低く、2023年と比べても低い水準にある。2025年に上昇したのは、建設業の成長の70%を占めたデータセンター建設ブームと、公共水道・高速道路プロジェクトによるものである。新たに組織化された組合員も、その雇用が持続しない場合、あるいは建設業組合が未組織の請負業者での組織化を草の根レベルで継続的に苦戦する場合には、組合を離れてしまう可能性がある。

 医療分野の組合員数は増加したが、同分野の組合組織化率は約8%で横ばいだった。医療は昨年最も雇用が急増した分野で、50万人の労働者が増加した。

 組合員数の最大の減少は物流・製造業組合で発生した。運輸・倉庫業では雇用は20万人増えたが、労働協約適用労働者は10万人減少した。反組合のアマゾンや他の運送業者が、米郵政公社(USPS)やUPSから配送業務を次々と奪っており、両社では一時解雇や事業閉鎖が吹き荒れている。

 製造業では、トランプ大統領がメード・イン・アメリカの復活を宣伝したが、組合潰しの煙幕に過ぎなかった。製造業の労働協約適用労働者数は34,000人減少した。一方、工場労働者総数は33,000人増加した。

 政治家の写真撮影用に頻繁に利用される鉱業・採掘労働者(注2)はさらに酷い扱いを受け、51,000人の雇用が失われ、組織率も急落し、わずか1年で組合員数が3分の1減少した。

 全米労働関係局(NLRB)を通じた組合認証選挙に参加した労働者数は増加傾向にあった——2023年と2024年は過去10年で最高値を記録した。しかしアメリカ進歩センター(CAP)によれば、2025年にはこの数が42%減少し、わずか82,625人となった。

公共部門の疑問符

 連邦政府職員の労働協約の否認が、今年の労働組合統計における最大の注記点だ。

 もう一つの注記点:州政府職員の数は2025年に推定259,000人増加し、うち18万人が新たに労働協約適用となった。しかしこの増加は持続するだろうか?

 2025年度の州予算は、数年前に設定された連邦政府からの支援を前提に組み立てられていた。今年、メディケイド(低所得者向け医療保険)、フードスタンプ(食料支援)、公共交通機関、その他の公共プログラムに対する連邦支援が大幅に削減されることで、各州は壊滅的な財政赤字に直面することになる。その結果、州および地方自治体の事業は削減され、担当している職員の削減を確実に招くだろう。

 深刻な攻撃にもかかわらず、組合員数が絶対数で増加し、組織率もほぼ維持された事実は、わずかながら希望を見出すに足る。より多くの労働者が反撃のために組合に加わったのだ。組合員総数はほぼ10年ぶりの高水準となった。

 この数字を経営側に対する力に変えるのは、我々の責任である。

*注1 発表された労働組合統計数字は年末時点の数字ではなく、毎月の調査結果を平均して算出されている。
*注2 トランプ大統領の選挙活動集会などでは聴衆の中にヘルメットを被った労働者たちの姿が多く見られ、その映像が強調される。