
選挙結果について書いたら多くの方から反応をいただきました。今日(2/11)は都内で「今こそ平和憲法を広げよう」と講演(写真下)をし、先ほど帰宅したところです。さて、昨日の続きです。今の危うい状況を変えるにはどうしたらいいのか。まず知ってほしいのは、今の世界の政治は選挙でなく市民運動によって変わることです。

ちょうど40年前の1986年2月、フィリピンで100万人の市民が首都の大通りを埋めて独裁政権に抗議し、独裁者マルコスはアメリカに逃亡しました。民衆の力、「ピープルパワー」と呼ばれます。
そこで就任したのが女性のアキノ大統領です。その4日後、今のウクライナのチェルノブイリで原発事故が起きました。発足したばかりのアキノ政権は前年にできたばかりのフィリピンのバターン原発を一度も使わないまま廃炉にしたのです。市民が生んだ政権だからこその選択です。
廃炉になったこの原発を訪れたのは、福島原発事故の翌2012年でした。原発をなくしてエネルギーはどうしてるのか問うと、地熱発電で賄っていると言います。首都から車で4時間かけて山奥の地熱発電所を見に行きました。大規模な発電所のあちこちに赤いスリーダイヤが見えます。日本の三菱製でした。主任技師は「今や我が国はアメリカに次いで世界第2の地熱発電大国です」と胸を張ります。
だったら三菱は日本でも地熱発電をやれよ、と言いたくなるではありませんか。帰国して大分県にある日本最大の地熱発電所を見に行くと、三菱製です。でも、とっても小規模です。なんでフィリピンであれだけ大規模にやれて当の日本ではちっぽけなのか。
調べてみると当時、世界の地熱発電のタービンの7割が日本製でした。日本は世界でも断トツの地熱発電の技術があるのです。なのになぜやらないかを聞くと、景観を壊すとか温泉が出なくなるとかいろいろ理由を言われました。でも、同じ大分県で名高い別府温泉の杉乃井ホテルは自前の地熱発電で電力を賄っていました。やれるのです。
今日の講演でも言いましたが、実は日本で地熱発電をきちんと開発すると原発20基分の電力がとれるのです。当時、経済産業省の研究機関がそうHPに書いていましたのを見て驚き、経産省に確認もしました。日本の技術はすばらしい。官僚もちゃんと調べている。でも、政治がそれを捻じ曲げて「日本には自然エネルギーはない」と国民をだましているのです。
地熱発電の威力を始めて認識したのは福島の原発事故の1年前、2010年でした。北欧のアイスランドを訪れて「世界最大の露天風呂」を見たのがきっかけです。サッカー場より広い5000平方mの巨大な露天風呂を見て「どうしてこんなものを作ったのですか」と質問しました。露天風呂の向こうで煙をもくもくと吐いていたのが地熱発電所です。発電する過程で地中から出てくる水蒸気が出てお湯となって地面に溜まった。それを露天風呂に活用しているのです。
そこで考えました。地熱発電所を作って露天風呂ができるのなら、露天風呂がたくさんある日本ならもっと地熱発電が出来そうだ、と。帰国して調べた結果が「原発20基分」の電力がとれるという経済産業省のHPです。
アイスランドと言えば1975年、ジェンダー平等を求めて女性の9割が参加したストライキ「女性の休日」をご存知でしょう。映画にもなりました。この運動がきっかけで男女平等が進み、今やこの国は16年連続でジェンダー平等世界一を続けています。平和度指数も17年連続で世界一です。アイスランドだって男性優位の社会でした。それを女性自らが変えたのです。今は大統領も首相も女性です。選挙でなく市民動が政治を変えたのです。
原発と言えば台湾は昨年、アジアで最初の脱原発を達成しました。6機あった原発全てが稼働をやめたのです。それを招いたのは市民、中でも若い女性の市民運動でした。「原発監視ママ連盟」の提唱で2013年に5万人がデモをし、ついに原発を停止に追い込んだのです。
もっとすごいのがお隣の韓国です。2年前に当時の大統領が戒厳令を出したとき、市民が立ち上がりました。若い女性が兵士から銃をもぎ取りました。大統領は今や犯罪人として裁かれています。
この国ではたびたび100万人規模で市民がデモを行い、政権に対して異議を唱えて来ました。2008年には危険な牛肉をアメリカから輸入することに反対して市民はロウソクを手にデモをした。そのとき、デモの人々が歌ったのが「大韓民国憲法第1条」という歌です。「大韓民国は民主共和国である。主権は国民にあり、すべての権力は国民から生じる」という第1条にメロディーをつけて歌った。米国に従うのでなく韓国の主権を発揮せよ、という主張です。高市首相に聴かせてやりたい。
2016年10月には当時のパク・クネ大統領に抗議し、首都の広場を3万人が埋めました。翌週は30万人、その翌週は100万人、最終的には首都だけで170万人に膨れ上がり、パク大統領をついに退陣に至らせた。選挙ではなく市民の行動が政治を変えたのです。
僕は主催者に「どうしてこんなにたくさんの人を集めることができたのですか」と聞きました。いろんな理由が挙げられました。その一つに「前年の日本に学んだのも大きな理由の一つです」と言います。2015年に安保法制に反対して10万人以上が国会を包囲した市民行動のことです。「あのおとなしい日本人でさえ立ち上がった。我々は何をしているのか、と発奮したのです」と言います。
みなさん、日本の市民運動も捨てたものではありません。お隣の韓国に影響して100万人デモを生むきっかけになったのです。あのとき、国会前に参加した人もいるでしょう。あなたの行動が韓国の政治を変えたのです。私たちには力がある。
僕はさらに問いました。「日本ではとても100万人は集まらない。どうして韓国はできるのですか」と。答えは、こうです。「我々、韓国の市民は軍事独裁政権の時代に市民が何度も血を流しながら闘い、ついに民主主義を勝ち取りました。だから自信を持っています。日本の歴史の中で市民が立ち上がって政権を勝ち取ったことが一度でもありましたか」と。そう、繰り返す市民運動が市民自身に自信をつけ、自信を持った市民がまた立ち上がるのです。体験しなければ自信は生まれない。だったら、今から私たちが自ら体験すればいい。
今や韓国の軍事政権の時代に似たようなことを高市政権はやろうとしています。今こそ、私たちは日本に歴史を作ろうではありませんか。選挙結果にめげているときではない。これをきっかけに、より良い未来、私たちの子や孫に誇れる日本を、私たちの手で創り出そうではありませんか。
画像はアイスランドの「世界最大の露店風呂」と、その向こうに見えるのが地熱発電所です。

