自民党が圧勝した総選挙の翌日(9日)、木原稔官房長官は定例会見で、「民主主義の根幹である選挙は国民の意見を聞く貴重な機会」だと誇示しました。

 確かに選挙は「民主主義の根幹」でしょう。しかしそれは、選挙制度が民意を公正に反映してこそ言えることです。日本の衆議院選挙制度は小選挙区比例代表並立制ですが、465議席中289議席(62%)は選挙区で選ぶ小選挙区制中心です。比例代表も全国を11ブロックに分けた不十分なものです。

 小選挙区制は民意を正確に反映するどころか、大量の死票を生み、「大政党」が不当に議席を得るきわめて反民主的な制度です。

 今回の総選挙でその実態をみてみましょう。

 自民党の小選挙区での得票総数は2771万493票(得票率49・09%)でした。一方、獲得した小選挙区の議席は289議席中248議席、実に85・81%です。1970年代に田中角栄内閣が小選挙区制導入を図ったとき、「4割の得票で8割の議席」だとその反民主性を追及して法案をつぶしたことがありますが、まさにそのスローガンが言い表している小選挙区制の実体が今回の選挙でも証明されています。

 そもそも小選挙区には候補者を立てていない(立てられない)政党もありますから、そこでの得票・率が各党の支持の実体を正しく表しているとは言えません。その点、比例代表の得票・率は各党の支持をほぼ正確に反映しているといえます。そこで比例区の得票率と獲得議席の関係を見てみましょう。

 自民党の比例区の得票率は36・72%でした。これを全議席465に掛け合わせると171議席です。しかし実際に自民党が得た議席は315。約2倍の水増しです。この視点からは、自民党の議席の半分は不当、「高市自民圧勝」も虚構だということです。

 一方、日本共産党の比例区の得票率は4・40%。これに全議席を掛け合わせると20議席です。しかし同党が実際に得た議席は4。

 「れいわ」の比例区の得票率は2・92%。14議席に相当しますが、同党が得た議席は1。

 社民党も得票率は1・27%あり、6議席を得てしかるべきですが、実際はゼロです。

 このように実際の支持(得票数・率)と獲得議席の間にきわめて大きな乖離が生じているのは、選挙制度が小選挙区制中心になっているからです。小選挙区制がいかに民主主義に反しているかは明白です。それは大量の死票を生むだけでなく、「大政党」が不当に多くの議席を得、逆に「小政党」は当然得るべき議席を得られないのです。

 小選挙区制度を廃止し、比例代表制(最良は全国一区)の選挙制度に変えること。それは「選挙」の擬態をまとった「大政党」の独裁を許さないための、議会制民主主義にとっての緊急重要課題です。

*アリの一言ブログ