●根津公子の都教委傍聴記(2026年2月1日)
第2、第4木曜に開催されることになっている都教委定例会が、この1~2年、1週や3週に開催されることがかなりあり、毎回傍聴しようと思っている私は迷惑を被ってきた。今日1日は月曜日、曜日まで変えられた。次回も第3木曜日の開催という。実に迷惑だ。
今日の公開議題は教育庁の部署新設や中学校1年生の学級定数を40人から35人にするなどによる規則・条例の改正についての4議案、そして6件の報告だった。報告は、①中学校の部活動改革に関する推進計画(案)について ②部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に係るガイドラインの策定について ③学校と家庭・地域とのより良好な関係づくりに係るガイドラインの策定について ④2025年度学校における働き方改革の進捗及び今後の展開について ⑤2025年度中学校スピーキングテスト(ESAT-J YEAR3)の実施状況について ⑥2026年度教育庁所管事業予算・職員定数等について。
非公開議題は議案に5件の懲戒処分、報告にも懲戒処分があった(議案となる懲戒処分は、減給から懲戒免職までの、重い処分案件)。
報告に対し教育委員たちはいつものように絶賛あるいはよい評価の発言ばかり。定例会のたびにそうした発言をしているが、学校の現実を見れば、子どもの不登校さらには自殺が、教員の精神疾患や中途退職が、正比例で増え続けている。教育委員たちは、この現実は「家庭環境や価値観の多様化」によるものであって都教委の方針や施策とは無関係と思っているのだろうか、あるいは、都教委が次々に出す施策によってこの現実が改善に向かうとでも思っているのだろうかと、思わずにはいられなかった。もしも後者ならば、その成果が出ているはず。後者ではないということだ。学校を、子どもたちが学校に行きたいと思える場所にするためには何をすればいいか、何をしてはいけないかを教育委員たちは熟議し、都教委事務方に問題提起すべきと思う。不登校も精神疾患も、都教委の指示命令で教員が動かされるようになって生じてきたこと。その認識を、まずはしてほしい。
① 中学校の部活動改革に関する推進計画(案)について
文科省の「中学校の部活動改革」ガイドラインに沿って都教委が2026年度から31年度までに行う取り組み(案)の報告。「部活動の指導や運営に負担を感じている教員は約8割」「休日の指導や運営にかかわりたくない教員は約7割」という現実、そして、働き方改革を進める中、都教委は【ア.地域の団体が運営団体・実施の主体となる イ.複数の学校で連携する ウ.外部人材の活用】で中学生の活動の機会を確保し、教員の働き方改革を推進するという。東京のこれを「東京モデル」というのだそうな。
教育委員の一人から「部活動にかかわりたい教員への対応も考えてほしい」との発言があった。部活動に時間を取られ、教材準備や生徒への声掛けなどの教育活動、私生活での余裕が奪われている現状を、この教育委員は想像できないのだろうかと思わざるを得なかった。
3月3日までパブリックコメントを募集し、3月26日に同「推進計画」を公表するという。
② 部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に係るガイドラインの策定について
中学校の部活動改革に関する推進計画のもととなるガイドライン。「東京都としての部活動に関する考え方を明確にするとともに国のガイドラインに基づき、部活動改革の方向性を示すもの」。「体罰や暴言(「死ね」など)、不適切な行為の防止を明記したことは東京都独自の内容で、とても良い」と報告者。当たり前のことを明記して自画自賛。なんなんだ!
③ 学校と家庭・地域とのより良好な関係づくりに係るガイドラインの策定について
「家庭環境や価値観が多様化するなか、学校と保護者・地域がより連携し、子どもたちの成長を支えていくことが、これまで以上に重要」「『過去5年間に通常の社会通念から疑問と感じる行動や行為を受けたことがある教員』は22%」。そこで都教委は「学校と家庭・地域とのより良好な関係構築を目指し、東京都カスタマー・ハラスメント防止条例を踏まえ、本ガイドラインを作成」したという。
そこに記された、「対応の原則」は、「事前に面会日時を設定し、原則として平日の放課後30分間」「複数の教職員で対応。記録し、管理職等と共有する」「面談回数が5回以上になるときは弁護士や心理士等が入り、学校と家庭の双方から意見を聴いて助言等を実施する」等。こんなガイドラインまで教員たちは必要としているのだろうか?
教員たちがすべきことは、保護者の声に耳を傾け、教員自らの判断を伝え、話し合いを深めることだと思う。教員が必要と思えば、長い時間面談したっていいではないか。1対1の面談をしない・させないのも非常に問題だ。「複数の教員」は、保護者にとって圧力と受け取られる心配がある。教員が保護者と面談し解決策を見つけるために必要なことは、都教委が指示命令に従わせ、考え判断する機会を日常的に教員(校長も含む)から奪ってきたこと、これをやめることだ。これこそが、この解決策ではないか。
④ 2025年度中学校スピーキングテスト(ESAT-J YEAR3)の実施状況について
今年度で4回目のスピーキングテスト。生徒の平均スコアは74,9/100(昨年度は68,3)で、上昇した。機器の不具合や試験管の「スタート」の合図が分からなかったことなどにより再度受験となった生徒が91人。対象の生徒・保護者に説明・謝罪のうえ、受験の機会を設定したとの報告。
教育委員からは、「成果が上がっている。心強い」「スピーキングテストを実施することで英語力がついていることが分かった」「トラブルが起きないよう努力していることはわかっている。予め、機器のトラブルが起きることもあると生徒や保護者に知らせておくとよい」との発言があった。
スピーキングテストの実施及び高校入試にこのテストの結果を加点することには当初から保護者・市民から都教委に苦情が寄せられ続けてきた。今、訴訟にもなっている。それに対して一貫して都教委事務方は一言の釈明もしない。教育委員からも今まで発言はなく、今回の「予め…」発言が初めて。でも、この発言は言い訳でしかない。苦情に対して定例会できっちり論議し、公表すべきだ。

