●根津公子の都教委傍聴記(2025年11月6日)

 公開議題は報告①「来年度教育庁所管事業予算見積もりについて」と②「『中学校におけるこれからの部活動のあり方を考える有識者会議』の設置について」。非公開議題は議案、報告ともに懲戒処分案件でした。

 のっけから懲戒処分についてですが、直近の10月29日に都教委が懲戒処分を下したのは5人。うち校長が2人、主幹一人。校長の一人はスーパーマーケットでの窃盗、もう一人は飲食店で女性教員と食事をした際に、女性の唇近くについた食べ物を校長の手でつまむなどして女性に不快感・嫌悪感を抱かせたというものです。私は管理職の不正・不法行為が多いように常々感じていますが、この点、都教委はどう受け取っているのでしょう。職員の管理・評価を校長に任せている都教委として。           ①「来年度教育庁所管事業予算見積もりについて」

2026年度は2025年度よりも教育費が6.4%増、給与関係費(小学校教科担任制導入や中学校の35人学級実施による定員増)が4.6%増、事業費(校舎建設・改修費)が11.4%増となり、総額1兆1145億8200万円。

 具体的には、「先進的な技術を有する企業等訪問を通じて、生徒が最先端技術に触れる機会を創出するとともに、マネジメント等を実践的に学ぶための起業・創業教育プログラムの構築」「海外大学進学を目指す生徒への支援強化」「生成AIをはじめとしたデジタル技術の活用、実践的かつ最新のデジタル教育の展開」「不登校対応に関する支援を行う教員の配置拡大」「教職員の働き方改革のための外部人材の活用充実」等々。

 これを都議会に提出し、1月に決定とのことです。

 不登校が解決の方向に向かわず、また、教員の精神疾患も減らないこの現実をどう見るかについての議論考察をする場が教育委員会定例会のはず、教育委員はそれが仕事のはずです。しかし、それが全くなされていません。なされないままに事業方針を出しても、解決に向かわないことが教育委員にはわからないのかと今日も思いながら傍聴しました。学校が楽しい、意味ある場所であれば、生徒も教員も学校に来るはず。楽しい、意味ある場所にならない要因を掘り下げて検討してほしいものです。冒頭に記した管理職の懲戒処分となる不法行為も要因は同じあるいは共通しているはず、仕事で心が満たされないから不法行為に走ってしまうのではないか。こうしたことが都教委や教育委員にはなぜ、わからないのでしょうか。

②「『中学校におけるこれからの部活動のあり方を考える有識者会議』の設置について」

 文科省が「休日は部活動において地域実現を目指す」「「平日は各種課題を解決しつつ更なる改革を推進する」と部活動改革について方針を出したのが2023年。来年度からはその改革実行期間に移行し、6年間で完全実施を目指しています。都の現状は、地域移行できている地区が半分程度。複数の学校が協力して部活動をしているのが1割程度。自らの専門協議等の部活動を指導したい教員は半数以上だが、7割の教員は「したくない」とのことです。

 そこで都教委は、中学校の部活動の地域移行等の進め方について検討するため、有識者会議(10人の委員)を今月11日に発足させ、4回開催したうえで3月に最終報告を予定しているとのことです。