

6月10日のレイバーネットTVの特集は<ヨコスカから見えてくる「戦争」>だった。メインゲストは、ヨコスカ反戦市民運動のレジェンドともいうべき、新倉裕史さん(写真左)だった。1973年のミッドウェー母港化に反対するグループをつくったのが運動のきっかけ。1976年から月例デモがはじまり何と50年間つづいている。回数にして604回だ。番組では、新倉さんが現場のスライドを見せながら、ヨコスカの実態をレポートした。
司会の乱鬼龍さんが「50年もすごいですね。行きづまったりしたことはなかったのですか?」の質問に、新倉さんはこう答えた。「辛い時期があった。参加者が一桁になったときは “三人になったらやめよう”と決めた。でも三人になることはなかった。今は毎回30 ~ 40人集まっている」。
2月28日のイラン攻撃以降は、週に2回・3回も米基地ゲート前でイラン反戦スタンディングを行っている。今回のイラン攻撃には、ヨコスカからイージス艦「ミリウス」が出動し、大量のトマホーク攻撃が行われた。「トマホークは過去の兵器との誤解があるが、そんなことはない。敵基地先制攻撃に適した兵器でイランでも使われ、自衛隊も即戦力として購入を進めている」と。反戦デモでは実物大のトマホーク横断幕をつくって、その危険性を訴えている。イランの小学校が空爆され165人の子どもがなくなる事件が起きたが、時系列を探るとミリウスのトマホーク攻撃の可能性もある、と新倉さんは指摘した。国際法違反のイラン攻撃に加担している日本の姿が浮き彫りになった。
新倉さんの話から、50年の反戦活動のなかで培ってきたものが見えてきた。デモが終われば警備の警察官に「ごくろうさま」と声をかける。巨大な軍隊や国家と対抗する力は『敬意』と『対話』しかないという。暴力より強いものが『敬意・対話』で、弱い私たちはどう敵をつくらずたたかっていくかを考えている。ゲート前スタンディングのときの3つのルールはこうだ。①無言で抗議する ②すべてに敬意を払う ③イエローラインのこえない、である。私は、沖縄・伊江島の反戦地主だった阿波根昌鴻さんの言葉「耳より上に手を上げないこと」を思いだした。


ヨコスカデモには元海上自衛官のさいとう友孝さんが、5月から参加している。この日の番組では、オンラインで出演してくれた(写真右)。さいとうさんは、2020年の「中東に行かないで!」と呼びかけた平和船団のデモのとき、護衛艦『たかなみ』からそれを見ていた。そのときどんな気持ちだったか、そしてなぜデモに参加するところに至ったのか。さいとうさんは率直に思いを語ってくれた。新倉さんはいう。「あの時どんな言葉で呼びかけるかを仲間とディスカッションした。そして中東に行くな!ではなく、行かないで!の表現にした」という。相手のことを考え抜いた言葉だった。それがさいとうさんを動かしたのかもしれない。
80分のヨコスカ特集は知らないことばかりで、たくさんの示唆に富んだ番組になった。ぜひアーカイブをご覧いただき広げてほしい。(M)

