10月11日、向原ホールで『博士の異常な愛情~または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』を上映しました。10名の皆さんが参加しました。

 最近出版された新書『「核抑止論」の虚構』に、かなりのページを使ってこの映画のことが書いてあります。戦争を予防するための核使用。こんな恐ろしいことが、現実味を帯びてきたのです。映画は60年前に作られたものでありながら、今の時代そのもの。米ソのリーダーが核ボタンを握りながら世界を嘲弄する姿に背筋が凍ります。「映画の中では24時間ずっと飛行機が飛び回っているが、今は潜水艦だ」という感想もありました。

 ウィキペディアによると『博士の異常な愛情』というタイトルは、原題の「Dr. Strangelove」からきているそうです。一般的な英和辞書では「strange」には、「奇妙な」「不思議な」は有り得ても、「異常な」の訳は掲載されていません。それでも「異常な愛情」という邦題が日本に定着したのには、本作が日本公開された1964年は、安保闘争の記憶も新しく、被爆国民である日本人に「核爆弾を愛する人物」は、「奇妙」や「不思議」といった語では足りず、「異常」であるとみなす良識を持っていたのだろうと思われます。

 映画のエンディングに流れる『また会いましょう』は、第二次世界大戦時代の流行歌。このメロディに乗って核爆発の映像が繰り返し流され、人類滅亡を暗示させるシーンで終わる。ブラックコメディなのですが、コメディで終わらない映画でした。

 この日は前の週までの暑さから一転して、冷たい雨が降りました。一週間前には高市早苗が新総裁に選出されたばかり。心と体を温めたい気持ちで小竹向原駅近くの蕎麦やに入り、懇親したのでした。