志真秀弘です。

6月8日(土)、第48回ブッククラブ読書会が開かれました。取り上げた本は『ルポ 低賃 金』(東海林智 著、地平社)。参加者は7人でした。

著者・東海林の熱さに、参加者の誰もが共感した。低賃金に怒り、苦しめられている労働 者と共に、泣き笑う。賃金の低さは、労働者の尊厳に関わるとの指摘は鋭い。

農家の収入を最低賃金と対比する視点にも、ハッとさせられ、農業問題に1章さいている 点にも、視野の広さを感じる。「食糧供給困難事態法」が今国会で成立してしまったが、 この法律の危険性、そして現在の農業の問題点などの議論はなおざりにされたままだ、と 指摘がなされた。

非正規労働者の現実に、著者は深く切り込んでいる。かつてフリーターという言葉があっ て、何か新しい働き方であるかのように言われた時期があった。それは、社会全体に多少 のゆとりがあるようにみえていたからだろう。今は家族といっても、バラバラで困難な状 況にある人を支えられるような状態ではない。しかも少子高齢化の波が襲っている。社会 が壊れ、沈んでいくような感じさえする。

本書は、地平社から刊行された。『世界』のもと編集長・熊谷伸一郎さんが代表となって 立ち上げられたこれは新しい出版社。6冊の単行本が同時刊行され(『ルポ 低賃金』もその1冊)、さらに新雑誌『地平』も創刊された。現在のジャーナリズムに一 石を投じる試みとして注目したい。

この日は『「遺骨は拾わない・お墓を作らない」葬送を考える』の著者・源純子さんも、 読書会メンバーとして参加した。この本を巡っても活発な討論があった。そのことを意識 せざるを得ない年齢の参加者が多かったせいでもあろう。

次回は8月4日(日)の予定。テキストの案をぜひ寄せてください。